富士通、教師データなしでデータの特徴を正確に獲得できるAI技術 世界初
富士通研究所が、教師データなしで通信ログや医療データのような高次元データの特徴を正確に獲得できる技術を世界で初めて開発したと発表した。AIの精度向上が期待できるという。
富士通研究所は7月13日、教師データなしで通信ログや医療データのような高次元データの特徴を正確に獲得できるAI技術「DeepTwin」(ディープツイン)を世界で初めて開発したと発表した。DeepTwinが見つけた特徴を残したまま高次元データを削減できるようにすることで、高次元データを使って学習するAIの精度向上が期待できるという。
AIの学習には手本となる大量の教師データを使うが、正解ラベルを付与した教師データを作る時間やコストの問題で、教師データなしでAIを学習させるニーズが高まっている。しかし、画像や音声などデータ量の大きい高次元データは、次元の数が大きくなるほど特徴を捉えるための計算量が指数関数的に複雑になる「次元の呪い」という課題がある。
この問題を回避するため、ディープラーニングを用いて高次元データを削減する手法が使われてきた。しかし、各データの分布や発生確率を考慮せずに削減するため、正確な特徴を捉えきれず、結果的にAIが誤った判定を下す原因となっていた。
富士通研究所のDeepTwinは、同社が培ってきた映像圧縮技術と、ディープラーニングの技術を組み合わせて開発。高次元データの削減すべき次元数と次元削減後のデータの分布をディープラーニングで最適化することにより、データの特徴を正確に捉えながら最小限のデータ量に削減できていることが、世界で初めて数学的に証明できたという。
富士通研究所は、DeepTwinについて「データの特徴を正確に捉えるというAIの根本的な課題を解く技術」とし、「幅広い分野のAIに適用できる」と期待しているという。
実際に甲状腺や不整脈などの医療データ、通信ログデータ内の異常値を検知する実験では、DeepTwinを使った場合に、誤検出率を既存技術に比べて最大37%減らせたという。
今後は、2021年度中をめどにDeepTwinの実用化を進め、富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」に活用する予定。
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