トランプ政権、オンラインのみ受講の留学生ビザ規制を撤回 州司法、大学、企業連動の勝利
米トランプ政権は、7月6日に発表したオンラインのみ受講の留学生ビザを発行しないとい規定を撤回した。多数の大学、州司法長官、GoogleやMicrosoftなどの企業などの強い反対を受けたものだ。
米マサチューセッツ州司法長官のマルラ・ヒーリー氏は7月14日(現地時間)、米国土安全保障省が数十万人の留学生を米国外に出国させることになる連邦規則を撤回したと発表した。
米移民税関捜査局(ICE)が6日に発表したこの規制では、授業をオンラインでのみ受講する大学の留学生にはビザを発行しないというものだった。
新型コロナウイルス感染症対策で9月の新学期から講義を完全にオンライン化する計画のハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)がこの規制に反対し、国土安全保障省に対して13日に訴訟を起こした。また、17の州もマサチューセッツ州の連邦地裁に提訴していた。これらの訴訟には多数の大学や企業がアミカスブリーフ(裁判所に対して第三者が提出する資料)を提出した。
ヒーリー司法長官は発表文で「米国の教育機関を充実させ、コミュニティを強化することに貢献する何十万人もの留学生のために、この勝利を祝う。トランプ政権下のこの規制は発表の瞬間から無意味で違法だった」と語った。
ハーバード大学のローレンス・バコウ学長は発表文で、政府が新たな規制を発令する可能性もあるが、裁判所が管轄権を保持しているため、留学生を保護するための司法的救済を直ちに求めることができると語った。「MITと共同の提訴をサポートするため、数百の大学、州、企業、市民団体などがアミカスブリーフを提出してくれた。マサチューセッツ州のヒーリー司法長官からも支援を受けた」とし、「コミュニティ全体がキャンパスに戻ってくる日を楽しみにしつつ、引き続き学問的使命に専念し、学生に可能な限り最高の教育を提供することに尽力する」と語った。
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