トランプ政権の移民政策に反対するGitHub、当局との契約更新について説明
トランプ政権の移民規制政策に反対するGitHubが規制当局であるICEへのサービス提供契約更新について全社員に説明した書簡を一般にも公開した。契約を打ち切っても政策に影響を与えることはないので、別の方法で反対を続けるとしている。
米Microsoft傘下のGitHubは10月9日(現地時間)、国土安全保障省の移民・関税執行局(ICE)へのサービス提供契約更新について従業員に説明したメールを公開した。このメールは前日、「極秘」として従業員に送られたが、人権活動家などが入手して公開した後、公式ブログで自ら公開した。
ICEは、米国内の移民によるテロ行為などを調査する機関。ドナルド・トランプ大統領の移民規制政策の執行当局でもある。
GitHubとその親会社であるMicrosoftは、トランプ政権の移民規制政策に反対しており、2017年2月に移民規制の大統領令に異議を申し立てる意見書に署名した。
ICEは、バラク・オバマ前大統領時代の2016年4月にGitHubの「Enterprise Server」のライセンスを販売パートナーを通じて購入した。更新もパートナーを通じてのものだが、GitHubの幹部がこの更新が保留されていることを知り、全社的に話し合ってきたという。
ナット・フリードマンCEOは、ライセンス販売による収益は20万ドル(約2140万円)未満であり、財務的に重要ではないと説明。また、ICEのプロジェクトやイニシアチブについてICEと協議してはおらず、ICEがこのサービスをどう使っているかを把握することはできないとしている。
GitHubもMicrosoftも、現政権の移民政策の多くに強く反対しているが、ICEは「移民法の執行を管理しているが、人身売買、児童搾取、テロなどと戦う最前線でもある」とし、「契約を打ち切ろうとしても、移民政策変更の説得にはならない」と説明した。
ICEとの契約は更新するが、移民関連で以下の取り組みを続ける。
- Microsoftの政府問題チームと協力し、移民の家族分離やDACA終了を阻止する努力を続ける
- 移民コミュニティ支援団体にICEとの契約による収益である20万ドルを超える50万ドルを寄付する
- 移民の権利を支援する従業員によるボランティアを奨励・支援する
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