中外製薬、データ基盤にAWS採用 ゲノム情報など保管・分析 新薬開発の効率化目指す
中外製薬が、AWSを活用して社内のデータ基盤を構築。データを生かした新薬の開発などを進める。新薬開発の効率化や、コスト削減効果などを見込む。
中外製薬が、Amazon Web Services(AWS)を活用して社内のデータ基盤を構築した。社内研究や、医療機関との共同研究で得たデータを蓄積して解析し、新薬の開発などにつなげる。アマゾンウェブサービスジャパンが7月15日に明らかにした。
中外製薬は現在、クラウドやAIなどを積極的に取り入れ、新しい創薬プロセスの開発に注力している。AWSの採用に当たっては、ゲノムデータなどの機密情報をセキュアな環境で保管できる点、ITリソースの導入コストや調達期間を削減できる点などを評価したという。
AWSベースのデータ基盤は、研究の他、医療機関と機密データを受け渡す際に活用している。開発環境をデータ基盤上に構築し、外部の研究機関やITベンダーと共同でデータ解析アプリの開発も進めている。
データ基盤の導入後、ITリソースの調達コストが90%減少し、インフラ整備にかかる期間が半年から2週間に減るなど、コスト削減や業務効率の向上などの効果が出ているという。
中外製薬は今後、年末までにデータ基盤上で100件の共同研究プロジェクトを動かせる体制を目指す。
AWS活用でコロナ禍のテレワークも万全
中外製薬はデータ基盤だけでなく、社内システムの基盤としてもAWSを使用。仮想サーバ「Amazon EC2」、コンテナオーケストレーションサービス「Amazon ECS」などを活用してITインフラの可用性を高めてきた。
そのため、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、約7400人の社員がテレワークに移行した際も、社外からのアクセス数の急増に対応できたという。
同社の志済聡子執行役員(デジタル・IT統括部門長)は「出社できない状態でもオフィス環境は支障なく使えた。研究用の環境など、大きなシステムにもアクセスできた」と話している。
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