光造形3Dプリンタで作る、世界で一つだけのフィギュア リアルな人体モデルを作る最短の方法:3Dプリンタ買っちゃいました(2/2 ページ)
思い通りの人体モデリングができない? それでも大丈夫。
人体モデルデータを3Dプリンタに読み込む
では実際に妻のフィギュアを3Dプリンタで出してみる。
まず、前回の3Dプリンタセットアップ編で説明していなかったスライサーが必要だ。3Dプリンタは、3Dソフトで作成されたデータをそのまま読み込めるわけではなくて、それを機種固有のデータに変換しなければならない。スライサーは、3Dデータをスライスして、光造形型であれば、1層ごとに紫外線を当てる画像を作成する。それをどのタイミングで、照射時間をどのくらいにするか、といったデータを1つのモデルに対して生成する。
ELEGOO MARSの場合には、安価な光造形3Dプリンタでよく使われるらしい、「CHITUBOX」というソフトがバンドルされている。バンドルされているUSBメモリの中にも入っているが、公式サイトで最新のものを落としてくるといいだろう。無料アプリだが日本語化されていて、とても使いやすい。
そこでELEGOO MARSを機種選択すれば、パラメーターも最適化される。まずは、そこに3Dオブジェクトを読み込む。そのオブジェクトが大きすぎると警告が出るが、プラットフォームのサイズに合わせて自動縮小してくれる。生成時に形が崩れないように支えてくれる支柱(サポート)も自動生成する。
で、HeadShotで作成した3Dモデルデータだが、.obj形式のメッシュデータをエクスポートすれば、それをCHITUBOXに読み込めるのだ。データにはとくに問題もなかったので、プラットフォームに合わせて縮小し、サポートを付ければそのまま印刷に入ることができる。
スライスというボタンを押すと、断面データが.cbddlp形式で生成されるので、それをUSBメモリにコピーして、3Dプリンタに持っていき、差し込む。あとのプリントのやり方はチェスの駒と同じだ。
これを、妻の写真から生成した人体モデルでやってみて、これまでに4体の妻のフィギュアを印刷した。
ビルドプラットフォームに下がった、妻を模したフィギュアがレジンの海から上昇していく様子を見ると、惑星ソラリスの海とか攻殻機動隊やウエストワールドのオープニングっぽい印象も受ける。だが、これは今、ソフトと合わせても5万円ちょっとで手に入る現実なのだ。
レジンの海で固体化したフィギュアたちは妻の遺影の横に置いたり、妻が寝ていた枕元に座らせたりしているが、南くんの恋人みたいにポケットに入れて、近所の池の周りをいっしょに散歩してみるのはどうだろうかと考えている。7年前までそうしていたように。
関連記事
- 故人の歌声合成を、当事者視点で考える 「AI美空ひばり」は冒とくなのか
故人の歌声合成を日常的に実践しているある意味「当事者」が、「AI美空ひばり」を考えてみた。 - AIで1枚の人物写真から高精細3Dモデル作成 Facebookなど開発
人物の正面からの写真があれば、背後も補完して3Dモデルを生成する夢の技術が開発された。 - もう逢えないあの人に瞳AFした Reminiの魔法で合焦
数十年前の、甘いフォーカスの写真も、最新式カメラの瞳オートフォーカスのように合焦する。そんなアプリがある。 - 3万円を切る光造形3Dプリンタでテレワークを乗り切る
2万7999円の3Dプリンタ。しかもかつては手が出なかった光造形方式。テレワークを機に立体造形生活を始めてみました。 - 3Dプリントしたオブジェクトに目視できないラベルを埋め込む技術「G-ID」 MITなど開発
人の目では認識できないが、マシンビジョンでは識別できるコードを3Dプリンタ出力に埋め込む。 - 家庭用プリンタで印刷、貼れる生体センサー「PhysioSkin」 ドイツの研究チームが開発
タトゥープリントのようにセンサーを腕などに張り付けられる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.