ドコモ1Q、コロナで端末販売4割減も増益 テレワーク特需も
NTTドコモが2020年度第1四半期連結決算を発表。新型コロナウイルスの影響で、スマホなどの端末販売台数が前年同期比で約129万台減った。これに伴って販売収入も777億円減ったが、販売関連費用を849億円減らして増益を確保した。
NTTドコモが8月3日に発表した2020年度第1四半期(20年4〜6月)連結決算は、売上高が1兆982億円(前年同期比5.3%減)、営業利益が2805億円(同0.7%増)と減収増益だった。新型コロナウイルスの影響で、スマートフォンなどの端末販売が前年同期の約344万台から約215万台へと約4割減少。これに伴い販売収入が777億円減ったが、端末の製造原価や販売費用を合計849億円減らし、増益を確保した。
携帯電話サービスを含む通信事業は、売上高が8518億円(前年同期比9.9%減)、営業利益が2194億円(同0.5%減)だった。新型コロナの影響で国際ローミングの利用が減ったことなどが要因としている。
一方、決済・映像などの「スマートライフ事業」は、売上高が1384億円(同30.3%増)、営業利益が283億円(同50.3%増)と大幅成長。19年7月にNTTぷららを連結子会社化したことが増収増益につながった。モバイル決済サービス「d払い」も好調といい、取扱高は前年同期比2.8倍の1530億円に、ユーザー数は同1.8倍の2727万人に増えている。
テレワーク需要により、法人向けIoTサービスなどの「その他の事業」も成長。主にWeb会議ツール「sMeeting」や、オンライン教材「English 4skills」の利用が増え、同セグメントの売上高は1084億円(同0.9%増)、営業利益は328億円(同14.6%増)となった。
5Gプランの契約数は8月1日時点で24万件に到達。下期にはエントリーモデルのスマートフォンを投入し、年度末までに250万件の契約を目指すという。吉澤和弘社長は「順調に進捗(しんちょく)している」と話した。
コロナで非開示だった連結業績予想を公表 緊急事態宣言の再発出は想定せず
20年度3月期の連結業績予想は、売上高が4兆5700億円(1.8%減)、営業利益が8800億円(2.9%増)、純利益が6050億円(2.2%増)。4月に発表した2019年度3月期(19年4月〜20年3月)の通期連結決算では、新型コロナウイルスの影響により予想が困難として非開示だったが、合理的な算定が可能になったため公表したという。
ただし、緊急事態宣言の再発出は想定せず、5月の宣言解除以降、徐々に経済活動が回復していくことを見込んだ数字だとしている。
吉澤社長は「新料金プランに加え、5Gを前面に押し出して戦っていく。当然、金融・決済やポイントなどのメリットも組み合わせて勝負していく」と話している。
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