中堅・中小企業のテレワーク、社員のITリテラシー格差が課題に 「Web会議が円滑に進まない」などの声
従業員数が100〜999人の中堅・中小企業では、社員のITリテラシー格差が課題になっていることが、デル・テクノロジーズの調査で分かった。Web会議ツールなどの習熟度に個人差があり、業務の進行を妨げているという。
中堅・中小企業では、社員のリテラシー格差がテレワークの課題になる――デル・テクノロジーズがこんな調査結果を発表した。調査によると、従業員数が100〜999人の企業のうち、7月以降もテレワークを行う企業は54.1%。6月の実施率(63.9%)から9.8ポイント低下し、テレワークを中止した企業があることが分かった。ITリテラシーの差によるコミュニケーション不全がその一因だったという。
テレワークを断念した企業に理由を聞いたところ、「チャット・Web会議ツールなどの習熟度に個人差があり、業務の円滑な進行を妨げる」「コミュニケーションが難しい・時間がかかる」などの意見があった。デルは「社内ユーザーのITリテラシーのギャップが、長期化するテレワーク環境下で露呈した」とみている。
テレワークを導入済みの企業でも、リモートアクセス環境の整備が課題となっており、メール以外の社内システムに外部から接続できない企業が60.7%を占めた。請求書や帳票類の発送のために社員が出勤している企業は42.6%、押印や印刷のために出勤している企業は37.8%だった。
調査した企業の、6月時点での年間IT投資額は平均1495万円。テレワーク実施率が25%程度だった1月時点の年間IT投資額(平均1470万円)とほぼ据え置きだった。デルは「オフィス出社時と同等レベルの業務を継続するために必要な投資が行われていない」と分析している。
調査は6月8日〜7月3日に実施。デルの顧客のうち、従業員数が100〜999人の470社を対象にした。
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