メルカリ、4Qは上場以来初の営業黒字 コロナ禍でコスト削減、「定常的な黒字化は時期尚早」
メルカリの20年6月期第4四半期(20年4〜6月)の営業損益が黒字に。四半期での黒字は上場以来初。ただし「定常的な黒字化は時期尚早」としている。
メルカリは8月6日、2020年6月期第4四半期(20年4〜6月)の営業損益が黒字になったと発表した。四半期での黒字は18年6月の上場以来初めて。新型コロナウイルスの影響を受け、決済サービス「メルペイ」の広告宣伝費や販管費などを削減し、営業損益が9億円の黒字(前年同期は61億円の赤字)、売上高は229億円(前年同期比60%増)になった。新型コロナの影響が読めず、投資を抑制したことも寄与したという。
小泉文明会長は「足元では4Qで黒字化を達成したが、投資が先行する場合は赤字になる可能性もある」とし、黒字の維持には執着しない方針。「今後も投資は行っていくため、定常的な黒字化は時期尚早であると考えている。ただし、より筋肉質な経営を行うためにも、コスト削減の取り組みを強化する方針に変わりない」という。
20年6月期通期は増収減益 米国事業が急成長
同日発表した20年6月期通期(19年7月〜20年6月)の連結決算は、売上高が762億円8000万円(前年比47.6%増)、営業利益は193億1000万円の赤字(前年同期は121億5000万円の赤字)、最終損益は227億7000万円の赤字(前年同期は137億6000万の赤字)と増収減益だった。
国内でのメルカリ事業の年間GMV(流通総額)は6259億円(前年同期比28%増)、MAU(月間アクティブユーザー数)は1745万人(同29%増)に成長した。4月7日の緊急事態宣言発出からゴールデンウィークにかけて、出品数とGMVが大きく伸びたという。長澤啓CFOは「今は5月中旬からの反動などを注視しているところ」という。
米国でのメルカリ事業は、GMVが6億8100万ドル(前年同期比88%増、約720億円)、MAUは420万人(同2.1倍増)。第4四半期には出品数、購入者数が過去最高になるなど好調だった。長澤CFOは「収益性は改善傾向にある」としており、今後は引き続き新型コロナの影響を見極めつつGMVの拡大を目指すとしている。
21年6月期の連結業績予想は「合理的な業績予想の算定が困難である」として開示していない。
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