「防御とは現金である」 ソフトバンクグループ、資産の資金化を95%完了 ファンドは一気に黒字化(3/3 ページ)
ソフトバンクグループの孫正義社長が、同社の資産資金化プロジェクトについて資金化が95%完了したと明らかにした。2019年度は大幅赤字となったファンドも黒字でのスタートとなった。
ビジョンファンドが一気に黒字化
19年度の大幅赤字の要因の一つでもあるファンド「SoftBank Vision Fund」(SVF)は20年度に入って成績を大きく回復。19年度第4四半期には1兆1159億円の赤字となった投資による損益は、20年度第1四半期には2966億円の黒字になった。
SVF設立から20年6月末の時点で、投資に成功したのは29社。利益は累計約1兆8000億円という。中でも323億円を投資した米バイオテック企業・Relay Therapeuticsは7月に株式上場し、保有株式の価値が1246億円まで成長している。
一方、失敗したのは48社で利益はマイナス1兆6000億円になっているという。
孫社長は「ずっと黒字になると今の時点で言うのは時期尚早」としながらも「着実に最悪の状態よりは改善してきている」と評価した。
ARM売却は「交渉を行っているのは事実」
傘下の英Armについては7月、米メディアがSBGが保有するArm株の一部または全部を売却する可能性があると報じた。これについて孫社長は「交渉を行っているのは事実」と認めた。
SBGは16年にArmを買収して上場廃止。23年には再上場を目指していた。今後の可能性として「一部または全部のARM価値を売却することも選択肢の一つとして検討を開始している」(孫社長)という。交渉相手の企業名や取引条件などはノーコメントとした。
交渉次第では売却しない可能性もあり「ギリギリまでどういう選択肢がベストか検討したい」(孫社長)と話した。
今後の業績予想については未確定な要素が多く、連結業績の見通しが立てにくいとして公表を控えた。
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