ペンにしか見えない全天球カメラ「IQUI」はカジュアル特化の「THETA」か(2/2 ページ)
ペンにしか見えない全天球カメラ「IQUI」(イクイ)が登場した。リコー発のスタートアップカンパニーであるベクノスの製品で、THETAの元開発者がCEOを務めている。
IQUISPINでは、スピン動画(くるくる回りながらアングルを変えたり丸くなったりする)を手軽に作れるアプリだ。エフェクトのかけ方で様々なショートムービーができあがる。スマートフォンからの撮影にも対応しているが、THETAのようにスマートフォンの画面でプレビューを見ることはできず、あくまでもシャッターをリモートで押せるだけだ。
充電はUSB-Cで行うが、本体には端子を持たず、付属のアダプターを使用する。底には三脚穴もない。
一方で製品には簡易スタンドが付属する。手に持つだけではなく、テーブルに置いての撮影も簡単に行える。要するに、カジュアル系に割り切った全天球カメラなのである。
気になる画質だが、画像サイズは5760×2880ピクセルと「THETA SC2」や「THETA V」と同等となっている。動画は1回あたり最大30秒。全天球動画よりも、全天球画像をサッとスピン動画に変換して楽しむというより手軽さを重視した仕様だ。何しろ全長は139mmで質量は約60gである。
別売オプションとしてバッテリーチャージャー兼用ケース(11月発売予定)も用意されている。ケースにバッテリーを内蔵していて、持ち運びながら本体を充電できる。
ビジネスよりコンシューマーで勝負
リコーの山下良則社長によると、リコーは新規事業の種を植えるのは得意だが、それを事業として育てるのは上手くないため、新しい事業を育てるための新しい制度を3つ立ち上げたという。その1つが社内で生み出した新しい事業の種をカーブアウトして社外の出資を募ったりオープンにパートナーを探すというもの。その第1号がベクノスだ。
確かにリコーはOAメーカーからデジタルサービスの会社へ転換中というが、主力はBtoB事業。2013年に発売したTHETAシリーズも現在、ビジネス向けで伸びている。
逆にコンシューマー向けは強くない。しかしTHETAの生みの親でもあるベクノスの生方秀直CEOは、「その場の空間を一瞬にして切り取り、その感動を伝えたい」と一般消費者向けに展開しようとしていた。そこでベクノスという別会社を立ち上げることにしたと考えると分かりやすい。その成果がIQUIと、一足先に公開したIQUISPINだった。
知らない人が見たら新しい文房具としか思われないだろうIQUI。しかし、そのスリムなデザインで撮影の手軽さや取り回しの良さはTHETA以上だ。友人や家族との全天球記念撮影や、どこか出掛けたときのその場の全景入り自撮り、上下前後左右全部記録した旅行写真などを楽しめるのは確かなので、その新しさや楽しさをどう広めていくか。ベクノスのお手並み拝見だ。
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