西武ライオンズとシスコがタッグ 本拠地にサイネージ290台設置 演出など強化、選手と画面越しに交流
シスコシステムズと埼玉西武ライオンズが協業を強化。メットライフドームに設置しているデジタルサイネージを、現在の約70台から約290台に拡充する。試合映像をリアルタイムで配信し、席を離れているファンも臨場感を味わえるようにする。ビデオ会議を使ったファンサービスも検討する。
シスコシステムズはこのほど、埼玉西武ライオンズとの協業を強化すると発表した。2021年3月までに、ライオンズの本拠地・メットライフドーム(埼玉県所沢市)にデジタルサイネージ「Cisco Vision」を追加で設置し、現在の約70台から約290台に拡充する。画面では試合の映像をリアルタイムで配信し、得点が入った際は演出も実施。買い物などで席を離れているファンも臨場感を味わえるようにする。ビデオ会議システムを使ったファンサービスも検討する。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で来場者数が制限される中で、観客の体験の質を高めるとともに、新たな収益源を生み出す目的がある。サイネージには、試合映像に加えて広告を掲出する予定。「企業にスポンサードいただき、新たな収益の柱にしたい」とライオンズの村松宏氏(営業部部長)は話す。
9月末の三連戦で試験運用
本格運用に先駆け、20年9月22日〜24日にメットライフドームで行う三連戦(対日本ハムファイターズ)を「Cisco Super Series」と題し、設置済みのサイネージに試合映像を配信する。ライオンズの選手がホームランやタイムリーヒットを打つと、画面上で音響や映像による演出も行う。
ドーム3塁側のデッキ部分には、デジタルホワイトボード「Cisco Webex Board」を設置。ファンが試合前などに、ビデオ会議システム「Cisco Webex Teams」を使って、画面越しに選手と交流できるようにする。
この他、カメラなどで人のモーションを検知する「Cisco Smart Signage」もドーム内に設置。子供などが画面の前でシャドーピッチングをすると、実在する選手のCG映像がバッターとして表示され、対戦できるゲームを提供する。
遠隔地に試合映像を流すテストも行う。三連戦の間は、西武池袋駅(東京・豊島区)に備わっている大型サイネージ「池袋駅マルチビジョン」にも、試合の模様や得点時の演出を配信。通りかかったファンが観戦を楽しめるようにする。
9月22日と23日には、ビデオ会議システム「Cisco Webex Meetings」を使って、ファンが両球団のOBと歓談しながら試合を見られる企画も行う。その模様は、プロ野球の試合動画を配信するサービス「パーソル パ・リーグTV」とBSテレビ東京で放送する予定。G.G.佐藤さん、森本稀哲(ひちょり)さんらが参加する。
「デジタル化するいい機会」
シスコとライオンズは今後、三連戦での試験的な取り組みを踏まえ、21年シーズンでのサイネージやビデオ会議を使った施策を検討する。画面越しでの選手との交流を積極的に行ったり、データを収集してマーケティングに生かしたりする案もあるという。
シスコの鈴木和洋会長は「新型コロナウイルスは球界にダメージをもたらしたが、デジタルを活用したビジネスを取り入れるいい機会でもある。新しいビジネスモデルを考案し、スポーツ業界の発展に貢献したい」と意気込んだ。
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