東証、システム障害で謝罪 詳細な経緯説明、当面は「人的監視」で対応
東京証券取引所が、システム障害について緊急の記者会見を開き謝罪した。ストレージシステムのメモリ故障が原因となり、バックアップへの切り替えにも失敗した結果、情報配信処理や売買監視システムに異常が発生したとしている。当面はシステム監視を人的に強化するとしている。
システム障害で全取引を終日停止した問題を受け、東京証券取引所(東証)は10月1日、都内で開いた緊急の記者会見で市場関係者や投資家に謝罪した。ハードウェア障害の発生と、バックアップ切り替えの不具合が原因だという。
東証の宮原幸一郎社長は会見の冒頭「投資家などの投資機会を逸してしまい、責任を痛感している」と陳謝。経営陣の責任については、「JPX全体で原因を究明し、再発防止に努めた上で、経営判断したい」とした。
システム内でメモリ故障、切り替え働かず
システム障害の経緯について東証は、午前7時4分ごろ、「arrowhead」(アローヘッド)と呼ばれる株式売買システムの内部に2台あるストレージシステム「共有ディスク装置」の1号機に異常が発生したと説明する。異常の原因は装置のメモリ故障という。
通常であれば1号機に異常が発生しても2号機に自動的に切り替わる設定になっているはずだったが、何らかの理由で切り替わらなかったとしている。この結果として、arrowheadの情報配信処理や売買監視システムに異常が発生したことから、午前8時54分にネットワークを遮断し、取引を停止したとしている。
東証は2019年11月にarrowheadを刷新したばかり。現システムの稼働から1年足らずで今回の障害が発生した。メモリの故障や切り替えが動作しなかった原因については、システム開発元の富士通とともに原因を究明するとしている。
サイバー攻撃の可能性については否定した。故障したメモリは外部と直接つながっておらず、外部からの攻撃監視にも異常はみられなかった。機器に残されたログからも故障は明らかだという。
東証は今後、故障の原因が判明するまでは人手でシステムを監視するという。
東証は現時点で、2日から取引を再開するとしているが、本日中に最終決定する方針。
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