新型コロナ関連のサイバー犯罪、20年上半期で608件 詐欺や標的型攻撃など多発
警察庁が、新型コロナウイルス感染症関連のサイバー犯罪が2020年上半期で608件に上ったと明らかにした。ECサイトでの詐欺や標的型メールによる攻撃などが多発していたという。
警察庁はこのほど、2020年上半期に起きたサイバー犯罪のうち、新型コロナウイルス感染症に関連するものが608件に上ったと明らかにした。6月末までに各都道府県警察から報告を受けた事案を集計したところ、ECサイトでの詐欺や標的型メールによる攻撃などが多発していたという。
608件の内訳は、ECサイトなどでの詐欺が286件、不審なメールやWebサイトが115件、マスクや消毒液などの転売が67件、業務妨害が57件、個人情報の窃取が55件だった。
詐欺の被害では「ECサイトでマスクを注文したが、商品が届かず出品者との連絡も取れない」「出品者に振込先口座を変更するよう言われたので従ったが、偽の事業者だった」などの事案があったという。
標的型メールの被害では、実在の保健所をかたって「コロナに関して情報があります」とするメールを送り、添付ファイルを開かせてマルウェア「Emotet」などに感染させる手口がみられた。「給付金を送るので記載のURLから申請するように」として不審なサイトに誘導するメールも出回っていた。
政府の緊急事態宣言に伴う外出自粛要請の影響でテレワークの導入が進み、リモートデスクトップやVPN、Web会議ツールなどの利用が加速したが、十分なサイバーセキュリティ対策がなされず、サイバー攻撃を受けた事例も確認したという。
他にも医療機関の新型コロナ研究の情報を狙ったサイバー攻撃や、「あの飲食店に新型コロナ感染者がいる」などと虚偽の情報を流布させて業務妨害を行った事案、マスクなどを購入する際にクレジットカードの情報を盗まれた事案、マスクを購入額以上の価格を付けて転売する事案などがあった。
警察庁は現在、こうしたサイバー犯罪の抑止に向け、Webサイトなどで注意喚起を行っている。一部の都道府県では医療機関と警察が協定を結び、被害防止に向けて協力するなどの対策をとっている。
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