菅義偉内閣総理大臣は10月26日、初の所信表明演説の中で「行政への申請などにおける押印は、テレワークの妨げともなることから、原則全て廃止する」と発言した。
菅首相は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け「行政サービスや民間におけるデジタル化の遅れなど、さまざまな課題が浮き彫りになった」との問題意識を示した。
今後5年間で自治体や行政のデジタル化を進め、「役所に行かなくても手続きができる」「テレワークの導入で地方にいても都会と同様に仕事ができる」「都会と同じ医療や教育が受けられる」といった社会を実現したいとしている。
この他、設置予定の「デジタル庁」を中心に、今後2年半でマイナンバーカードをほぼ全国民に普及させること、保険証・運転免許証とマイナンバーカードの統合、子供1人につき1台のPC配布や学校の通信環境の整備を行う「GIGAスクール」構想の実現、ロボット技術による自動化、無人化などを進める姿勢を見せた。
各省庁は新型コロナの影響を鑑み、さまざまな場面で押印廃止に向けた動きを見せている。6月には内閣府と法務省、経済産業省が「テレワークを推進するため、不要な押印は省略して別の手段で代替するのが有意義」との見方を示した。
10月には文部科学省が学校と保護者のやりとりで使われる押印や連絡手段のデジタル化を進めるよう、全国の教育委員会などに通知。河野太郎行革担当相も「紙に何かハンコを押すなどの行為が原則出ないようにしたい」と発言している。
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