Apple Silicon “M1”はとにかくシングルコア性能が高い:新連載「Apple Silicon M1チップはなぜ高性能なのか」(2/2 ページ)
2020年、3度目のCPU変更を実現したAppleの「M1」プロセッサはIntel、AMDとも互角以上に戦える性能であることが分かった。その背景をMACお宝鑑定団が探る。
Apple M1の高性能のカギを握るのは?
Geekbench 5でApple M1チップとIntelプロセッサのベンチマークを比べて分かることは、とにかくシングルコア性能が高いことだ。
近い動作クロックの第10世代モバイルCoreプロセッサ「Ice Lake」と比較すると、およそ5割増し(150%)のシングルコア性能を発揮する。つまりコアあたりのIPC(クロック周波数あたりの処理性能)がべらぼうに高い。
そのカラクリについては、AnandTechが詳しく解説してくれている。
Apple A14 Bionicの高性能コア「Firestorm」は、コアあたり8命令デコードでALUが6基搭載されているという。
ALU(Arithmetic Logic Unit)とは簡単に言えばCPUコアの演算器であり、CPUの心臓部だ。
命令デコーダは与えられた命令を演算器で実行させるための準備をする解析器で、頭脳の中の頭脳とも呼ばれる部分だ。
ちなみに「Ice Lake」が採用するSunny Coveアーキティクチャの場合、コアあたりのALUは4基、5命令デコードだ。
Apple M1チップは単純に見てもその1.5倍の演算器と1.6倍の解析器を備えているわけだから、シングルコア性能が5割増しなのもうなずける。もちろん、ARMv8-AアーキテクチャのプロセッサコアとしてもダントツのIPCだ。
プロセッサコアの性能をここまで引き上げると、そこに命令やデータを送り込むメモリシステムやファブリックの性能もそれに合わせて向上させなければならない。
いくら心臓部が速くても周りが付いてこれないのではその性能を充分発揮できないからだ。そのためにApple M1チップでは、特殊なキャッシュ構造とファブリック、そして低遅延で広帯域なユニファイド・メモリ・アーキテクチャ(UMA)を採用した。
この辺りは次回、改めてご紹介できれば幸いだ。
執筆:MysticRoom Tak.
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