iPhone向けに開発した楽器アプリがM1搭載Macでそのまま動く衝撃:新連載「iOS音楽アプリプロデューサーがM1 Macを使ってみたら」(2/3 ページ)
iOSでビンテージ鍵盤楽器を再現するアプリを開発しているプロデューサーによる、開発者目線でのM1 Macへの取り組みを綴っていく連載がスタートします。
M1 Macの登場に合わせて、アプリの開発者向けに割り当られているサイト「iTunes Connect」の各アプリ管理ページに、「Appleシリコン搭載MacでのiPhoneおよびiPad用のApp」という項目が追加された。「このAppを配信可能にする」をクリックすることで、簡単に配信の可否を設定できる。
Apple側の判断で互換性が確保されたアプリは、デフォルトで配信可能状態になっており、開発者が何もしなくても自動的に配信される。Mac App Storeへの配信を望まない開発者は、ここから意識的に配信不可を選択する必要がある。ただ、配信可能とされているアプリであっても、マルチタッチや各種センサーといったiOS特有の機能は使えないので注意しよう。
試しに、筆者の4つのアプリのうちの1つを、ここで配信不可にしてみたら、該当するアプリのWebプレビューページから「こちらで表示:Mac App Store」ボタンが消えていた。
MIDIチャンネルを変えることで夢のマルチキーボード体制が実現
さて、肝心のアプリが動作するかどうかの話に入ろう。結論から言うと、単純にダウンロードしただけで、あっけなく動作した。上記で書いたように、デフォルトでMac App Storeにも配信されるので、当たり前といえば当たり前なのだが、めでたい話ではある。
開発者としては、M1 Mac用にリビルドするなど、なんらかの手立てが必要になるのではと予測していただけに、肩透かしを食らった格好だ。あまりの嬉しさに、自分のアプリを4つ並べてMIDIキーボードを接続して弾いてみると、すべてのアプリの音が一斉に鳴り、これまで聴いたことのないような荘厳な音色に圧倒されてしまった。
アプリ(受信側)のMIDIチャンネル設定を変更することで、複数のアプリを起動した状態で、特定のアプリだけを鳴らすなど、弾き分けを行うことも可能だ。リック・ウェイクマンやジェフリー・ダウンズも顔負けの、自分の周囲に城を築くようなマルチキーボード体制が実現する。ちなみに、アプリのウインドウの大きさは、788×619ピクセルの固定で変更できない。
ただ、上記、4つのアプリでMIDIチャンネルの設定方法が異なる。Alina String EnsembleとCombo Organ Model Vは、iOS版と同様、アプリ内から設定可能だが、Pocket Organ C3B3とSuper Manetronは、「Preferences」メニューから実施する必要がある。
他のアプリにおいても、アプリ内から設定できない項目があれば、「Preferences」メニューをチェックしてみるといいだろう。
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