iPhone向けに開発した楽器アプリがM1搭載Macでそのまま動く衝撃:新連載「iOS音楽アプリプロデューサーがM1 Macを使ってみたら」(3/3 ページ)
iOSでビンテージ鍵盤楽器を再現するアプリを開発しているプロデューサーによる、開発者目線でのM1 Macへの取り組みを綴っていく連載がスタートします。
AUv3対応であればソフトウェア音源として機能
筆者が共同開発した4つのアプリのうち、Combo Organ Model VとAlina String EnsembleはAUv3に対応している。ということは、Logic Pro上でソフトウェア音源として、トラックに割り当てられるのではないだろうか。早速試してみた。
結果オーライだった。ちゃんと動作しMIDI鍵盤を接続してLogic Pro内で演奏することができる。ただ、結果オーライと言ったのには訳がある。Logic Proの起動時に非互換を知らせるアラートが出るは、Logicのプラグインマネージャー上では「検証に失敗しました」と表示されているはで、一時はすっかり諦めモードに陥ってしまったからだ。しかし、プラグインマネージャーの「使用」にチェックを付けると、ちゃんと各トラックに割り当てることができた。
使い込んでいるうちに、文字の表示が乱れたり、ボタンの反転表示がホワイトアウトするなどの症状が現れたりしたが、音源としての機能は終始問題なく動作し、ソフトウェア音源として十二分に機能することが確認できた。
こちらは、iOS版GarageBandに、AUv3の外部音源としてAlina String Ensembleを読み込んだ画面。前図のプラグイン画面は表示領域が広がってはいるが、各種ボタン類のレイアウトは、そのまま踏襲されていることが分かる
2016年にiOSがAUv3に対応した際、上記の2つのアプリの共同開発者であるbismark氏(プレイバックサンプラー「bs-16i」の開発者)の尽力もあり、早期にAUv3対応を行うことができた。であれば次は、楽器アプリの開発者としてそのiOSアプリのリソースを活用し、macOS版のAUソフトウェア音源も作るべきであろうかと熟慮した時期もあった。
ただ、そのときは、他の仕事が立て込んでいたこともあり、ウヤムヤになってしまった。だが、今、こうやってmacOSの方から歩み寄ってくれたことで、開発者として一切のアクションを起こすことなく、macOS版のソフトウェア音源を事実上リリースすることができたわけだ。私は今、涙腺を大いに緩ませながら、「Apple Siliconばんざーい」と叫んでいるのであった。
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