行政の閉域ネットワーク内端末に遠隔アクセスできるサービス 自治体のテレワーク導入を促進
丸紅情報システムズ(東京都新宿区)が自治体専用の閉域ネットワーク「LGWAN」向けのリモートアクセスサービスを始めた。テレワークの導入が進まない市区町村向けに導入を進め、2023年までに17億円の売上を目指す。
「地方自治体ではテレワークを行えない」という現状にさよならを――。丸紅情報システムズ(東京都新宿区)が12月7日、自治体専用の閉域ネットワーク「LGWAN」向けのリモートアクセスサービスを始めた。テレワークの導入が進まない区市町村向けに導入を進め、2023年までに17億円の売上を目指す。
同社がLGWAN向けに構築したデータセンターに自宅など外部の私用端末からアクセスし、職場の業務端末を遠隔操作する。同社の担当者は「個人情報が入ったPCの持ち出しが禁止されている自治体は多いが、このサービスなら持ち出す必要がない」と話す。同社によると、LGWAN向けリモートアクセスの技術要件に準拠しているサービスとしては唯一だという。
自治体職員は事前に発行されたアカウントを使い、ワンタイムパスワードなどを入力してログインする。専用のアプリのインストールなどは不要。
サービスの利用は50ユーザー以上からで、初年度の導入コストは554万円から。自治体規模や職員数などに応じて変動する。
LGWANは総合行政ネットワーク(Local Government Wide Area Network)の略称。地方自治体専用のネットワークで2003年から本格運用が始まった。インターネットとは切り離した形で運用するためセキュリティの安全性は確保できる反面、外部アクセスがしづらく、コロナ禍での地方自治体職員のテレワークが進まない要因の一つになっていた。
市区町村のテレワーク実施率はわずか3%
総務省は4月、新型コロナウイルス感染防止のため、地方自治体にテレワークを行うよう通知を出しているが、小規模自治体では導入が進んでいない。
総務省が全自治体を対象に実施したテレワークの実態調査では、47都道府県は93.6%に当たる42団体、20政令指定都市は70.0%の14団体がテレワークを実施していた一方、1721ある市区町村の実施はわずか51団体、全体の3.0%にとどまった。
テレワークを導入していない理由で最多だったのが「情報セキュリティの確保に懸念」で全体の80.6%を占めた。
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