ラズパイでもAWS互換のコンテナ環境を作れる「Amazon ECS Anywhere」発表 AWSがハイブリッド/マルチクラウド対応へ踏み出す:AWS re:Invent 2020
AWSが「Amazon ECS Anywhere」を発表。AWSで使われているクラウド基盤ソフトウェアをオンプレミスや他社のクラウドなどで実行できる。Raspberry Pi上でも実行可能。AWSがハイブリッド/マルチクラウド対応へ踏み出した。
この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「Raspberry PiでAWS互換のコンテナ環境を作れるAmazon ECS Anywhere。AWSがコンテナとKubernetesでハイブリッドクラウド/マルチクラウド対応へ大きく踏み出す」(2020年12月8日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
米Amazon Web Services(AWS)はこのほど、AWSクラウドで使われているクラウド基盤ソフトウェアをオンプレミスや他社のクラウドなどで実行可能なソフトウェア2種の公開を、オンラインイベント「AWS re:Invent 2020」で発表しました。
発表したのは、Amazon ECS(Elastic Container Service)互換を実現する「Amazon ECS Anywhere」と、「Amazon EKS(Elastic Kubernetes Service)」互換を実現する「Amazon EKS Anywhere」です。2021年リリース予定。
AWSが公開しているAmazon ECS Anywhereのデモでは、Raspberry Pi上でAmazon ECS Anywhereを実行し、AWSのAmazon ECSとコンテナの連携を紹介。AWSではないプラットフォームで実行できることをアピールしました。
コンテナとKubernetesでハイブリッドクラウド/マルチクラウド対応
AWSの競合であるGoogle CloudやMicrosoft Azureは、すでにコンテナとKubernetesをベースとしたハイブリッドクラウド/マルチクラウドのソリューションであるAnthosとAzure Arcを展開しています。
AnthosもAzure Arcも、Kubernetesによってクラウド基盤やオンプレミスを抽象化したうえでコンテナのポータビリティを用いることで、自社クラウドのアプリケーションをオンプレミスでも他社のクラウドでも実行可能にすることを基本的な仕組みとしています。
「Amazon ECS Anywhere」と「Amazon EKS Anywhere」も、これらと似たソリューションを提供するものといえます。
コンテナのポータビリティとKubernetesのインフラ抽象化の機能を活用することで、AWS上のコンテナアプリケーションが簡単にオンプレミスや他社クラウドで展開可能になります。
AWSがコンテナをベースにハイブリッドクラウドやマルチクラウドの対応へ大きく踏み出したと言っていいでしょう。
Amazon EKS Distroは確実にAmazon EKS本家とk8sのリリースが一致
特に注目すべきは「Amazon EKS Anywhere」でしょう。AWSはKubernetesのディストリビューションの「Amazon EKS Distro」としてオープンソースで公開することを表明しています。
Amazon EKS DistroはAmazon EKSをベースにしており、Amazon EKSが使用しているものと同じバージョンのKubernetesおよびポイントリリースをサポート。さらにAmazon EKSで新しいKubernetesがリリースされれば、それはすぐにAmazon EKS Distroにも反映され、確実にリリースが一致することも明言しています。
そのうえでAmazon EKSのサポートについても次のように説明しています。
パートナーはAmazonパートナーネットワークプログラムを通じてサポートを受け、パートナーを通じてEKS Distroを採用しているお客様は、それらのプロバイダーからサポートを受けることができます。
いままでAWSのパートナーがマルチクラウドやハイブリッドクラウドの構成を実現する場合、それぞれ得意な方法や顧客のニーズに合った方法が選択されてきましたが、今後そこにAWSが正式にサポートする純正のコンテナソリューションが含まれることになります。AWSのソリューション構築において、パートナーの役割は、ますます重要なものになっていくのでしょう。
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