携帯料金の「囲い込み」や広告表示に政府がメス 3省庁がチーム発足
武田良太総務大臣と井上信治消費者担当大臣の2大臣が総務省内で初会合を開催。総務省が携帯市場改革に向け、総務省など関係3省庁と合同検討チームを発足させる方針を明らかにした。年内をめどに一定の方向性が出す予定。
携帯電話料金の値下げや市場の適正化に向けて、政府は12月9日、省庁をまたいだ取り組みを始めた。同日に武田良太総務大臣と井上信治消費者担当大臣が初会合を開き、契約の変更手数料や広告表示などについて検討する合同チームを設置することを明らかにした。
合同チームは総務省、消費者庁、公正取引委員会の局長級職員から構成。いわゆるキャリアの「囲い込み」や、携帯料金の広告表示などを問題視し、年内をめどに一定の結論を出すとしている。消費者への情報提供の場としてポータルサイトも設置するという。
武田総務相はキャリアのメインブランドとサブブランドについて「同一事業者内の変更であるにもかかわらず、多くの手続きや多額の手数料があるなど、ハードルを高く設定して利用者を高い料金プランに過度に囲い込もうとする例も見受けられる」と指摘。「(適正な競争環境に向けて)障害をひとつひとつ取り除き、消費者の目線に立った成果を上げていきたい」とした。
KDDIの東海林崇副社長が9日の新プラン発表会で「(手数料の撤廃に向け)前向きに検討する」とした発言への受け止めを問われ、武田総務相は「前向きに検討ではなく、消費者のためにしっかりと結論を出していただきたい」と発言。
「携帯料金の問題を掘り下げるほど、消費者に分かりにくく、高いブランドや高い料金プランに囲い込みを過度にしようとする戦略が見えてくる。しっかりと是正できるよう、現状を注視し、政府を挙げて取り組んでいく」とけん制した。
消費者庁は広告の総点検へ
公正取引委員会の担当大臣も務める井上消費者担当相は、携帯各社の広告表示について総点検する方針を明らかにした。
携帯電話料金の表示を巡っては、携帯電話の契約と固定のインターネット契約をセットで契約する場合の料金を表示するケースが散見される一方、重要な契約条件を表示せずに消費者に誤解を与えるものがあるという。
そうした表示について、井上担当相は「不適切な表示に対しては各社から発表された新プランも含めて、点検行い、都度、指導や要請を行っていく」とし、「武田大臣とタッグを組み、消費者のためにできることは全てやる決意で、公正な競争環境の整備を通じた料金の低廉化に取り組む」と決意を述べた。
公正取引委員会では来春をめどに、乗り換えに必要な手数料や手間といったスイッチングコストの低減に関してとりまとめる予定としている。
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