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コロナ禍のJクラブ経営危機 “投げ銭”や“クラファン”に活路を見出したメルカリ鹿島の2020年(3/4 ページ)

Jリーグの2020年シーズンが終わろうとしている。今シーズンはコロナ禍での長期中断で、各チームにとって難しいシーズンとなった。2019年にメルカリが経営権を取得し、クラブ経営に参画した鹿島アントラーズも同様だが、“投げ銭”や地域のDX化など新たな収益モデルに挑戦をしたシーズンでもあった。クラブトップが今シーズンを振り返る。

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メルカリが進めるスタジアムの「ラボ化」

 メルカリは経営権取得以来、本拠地の県立カシマサッカースタジアムで先端テクノロジーの活用を積極的に進めている。スタジアムをラボ(実験室)として活用して実証実験を進め、テクノロジーを活用した「スマートスタジアム構想」を掲げ、最終的に地域への還元を検討している。

 例えば、パートナー企業のNTTドコモとは5Gの専用端末を使い、マルチアングルでの観戦スタイルを検証するなどの実験を9月末に行った。8月にはNECとともに入退場時の顔認証システムの実証実験を行った。小泉社長は「将来的には入退場だけでなく、決済も顔認証をはじめとした生体認証になっていくだろう」との見通しを示す。

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メルカリが進める「スマートスタジアム構想」

 2019年からはメルペイなどのキャッシュレスも進めており、最終的にはコンビニの無人化の実現や、試合日は市内の一般道路で交通渋滞が多発することから、解消に向けた渋滞の予測システムやライドシェアの実現も目指す。「街が元気でなければ、競争力が落ちてしまう。地域とともにアントラーズもいろいろなことを行い、試合日を1つの実験場にして、将来的に市民に提供する形でいわゆるスマートシティーになっていけばいい」と小泉社長。

 海外のスポーツチームのアリーナやスタジアムを問わず、「かなり情報は収集している」といい、小泉社長はNBAのウォーリアーズが新設したアリーナを事例に「エンターテインメントの見せ方などは参考になる。テクノロジーを活用し、スタジアムをリッチにしていきたい」と述べた。

選手の育成にデータを活用 メルカリのエンジニアがサポート

 選手の育成にもテクノロジーを活用している。ユースなど下部組織に所属する選手のデータをカルテのように蓄積しているという。近年は技術の進展で取得できるデータが増えたといい、今後、トップチームに昇格した下部組織出身の選手が活躍した際に、ユース年代の時にどんなフィジカルレベルだったのかを分析することで、優れた選手を継続的に輩出する仕組みを構築中だ。

 データの蓄積や分析にはメルカリのエンジニアが入り、サポートしている。小泉社長は「若い時からデータを蓄積することが大切だ。選手の育成でもトライ&エラーが繰り返し、いい選手を継続的に輩出し、勝利の再現性を高めたい」と意気込む。

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