古い写真の顔をディープラーニングでリアルに動かせる「Deep Nostalgia」 無料で利用可能
イスラエルの家系図サービス企業MyHeritageが、顔写真をアップロードすると数秒間の自然な動画に変換できるサービスを開始した。5枚までは無料で変換できる。ディープフェイク防止のため、音声は追加できない。
イスラエルの家系図サービス企業MyHeritageは2月25日(現地時間)、先祖などの古い写真の顔をディープラーニング技術でリアルに動かせる新サービス「Deep Nostalgia」をリリースした。無料アカウントを作成してログインし、アニメ化したい写真をアップロードすれば誰でも利用できる。5枚以上の写真をアニメ化したい場合は、サブスクリプションが必要だ。
MyHeritageはこれまで、古いモノクロ写真やカラー写真をシャープなカラー写真に変換するサービスを提供している。このサービスで変換済みの写真の顔をDeep Nostalgiaで動かすと、よりリアルだ。
複数の人が写っている写真では1人しか動かせない。動かしたい顔を選択し、あらかじめ用意されている複数の動きの「ドライバー」動画から1つを選ぶと、そのドライバーと同じ動きをする。動画は数秒で、いずれも記念撮影の直前のように少し顔を動かし、最後は写真の顔に戻るものだ。下はドライバー動画の1例。
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Deep Nostalgiaで動かせるのは数秒だけで、音声は追加できない。このサービスではどんな写真でも動かせるので、当然生きている人のディープフェイク動画も作成できるため、悪用を防ぐために音声は追加できないようにしたとしている。また、悪用防止のために左下部にリアルではないことが分かるようアイコンが表示される。
このサービスは、イスラエルの顔認識技術企業、D-IDの「Live Portrait」という技術を採用している。Live Portraitは音声も追加でき、あたかも本人が話しているような動画を作成できる。MyHeritageが公式YouTubeサイトで公開した使ったリンカーン大統領の動画はLive Portraitによるものだ。
D-IDの本業は、動画および静止画から機密性の高いバイオメトリック個人識別情報を削除することにより、プライバシーを保護する技術の提供。2019年には日本の凸版印刷がD-IDと顔画像の非識別化サービスで提携している。
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