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第3の足として歩行を助けるロボット ランニング補助や転倒防止にもInnovative Tech

義足ではなく、積極的にロボット足を使っていく。

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Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 カナダ・シャーブルック大学の研究チームが開発した「A Supernumerary Robotic Leg Powered by Magnetorheological Actuators to Assist Human Locomotion」は、3本の足で歩いているかのように、人の歩行を支援する脚ロボットだ。人の足の横で、第3の足として杖のように補助する。

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脚のロボットを装着した様子

 義手や義足など、人間の足りない箇所をロボットで補う研究とは別に、ロボットを付加することで行動を補強する「Supernumerary Robotic Limbs」(SRL)という研究が進められている。外骨格とは違い、人間の手足構造とは独立して第3もしくはそれ以上の腕や足として人間の行動を支援する。

 今回は、第3の足として歩行を支援するロボットを提案。バックパック内のパワーユニットと、腰に固定した脚部で構成し、脚部はMR(磁気粘性流体)アクチュエータを動力源に2自由度で動作する。総重量は、バックパックに装着するパワーユニットを入れて9.7kg。

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バックパック内のパワーユニットと脚部で構成される

 人の歩行サイクルに同期してMRアクチュエータが動作し、歩行すると同時に脚部が駆動して杖のように地面に接して支える。脚部は膝のように角度が付けられ、地面を押し返すと同時に次のサイクル位置にスイングバックするように設計されている。

 歩行実験では、トレッドミル上で3つの同期方法(リーダー・フォロワー歩行、ダブル歩行、3本足歩行)を試した。リーダー・フォロワー歩行とは、左足が地面に接触すると同時にロボットの脚を着地させる方法。ダブル歩行とは、左右の足が地面に接触すると同時にロボットの脚も着地させる方法。3本足歩行とは、左足と右足が地面に接触する間にロボットの足を着地させる方法だ。

 トレッドミルの設定速度を1.4m/s(普通に歩く平均速度)で実験した結果、どの同期方法でも歩行を妨げることなく、スイング時には素早く移動し、着地時には大きな補助力を発揮したという。

 足のロボット自体は、最大速度3.9m/s(時速14km相当)を達成。この速度は、ランニングのような、より速い動きをアシストしたり、転倒時に素早く動作して事故を防止できることを示唆している。

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