ソニー、音楽を立体音響に変える「360 Reality Audio」に本腰 4000曲以上配信、他社へのライセンスも
ソニーは立体音響技術「360 Reality Audio」(サンロクマル・リアリティオーディオ)対応の邦楽コンテンツと再生機器を拡充する。
ソニーは3月23日、立体音響技術「360 Reality Audio」(サンロクマル・リアリティオーディオ)の邦楽コンテンツと再生機器を拡充すると発表した。新型コロナウイルス感染症の影響でライブなどの中止が相次ぐ中、「アーティストと同じ空間にいるような喜びを提供できる」としている。
360 Reality Audioは、ソニーが2019年の「CES」で発表したオブジェクトベースの立体音響技術。これまで主に欧米で展開してきたが、今後は日本で普及に向けた施策を本格化する。対応楽曲とそれを届ける音楽配信サービス、再生するためのハードウェアを同時に拡充する考えだ。
楽曲はポニーキャニオン、ワーナーミュージック、ソニー・ミュージックレーベルズなどの国内レーベルと連携し、主に邦楽の360 Reality Audio対応を進める。
音楽配信サービスは「Amazon Music HD」が対応楽曲を配信しているが、4月16日から「Deezer」(ディーザー)と「nugs.net」(ナグズネット)が加わる。大滝詠一や私立恵比寿中学、Doul、Little Glee Monster、鬼頭明里、森高千里など邦楽を含む4000曲以上を配信する(nugs.netは洋楽のみ)。
再生機器として、家庭用のワイヤレススピーカー「SRS-RA5000」「SRS-RA3000」を4月16日に発売する。Wi-Fi接続したスマートフォンから対応楽曲をキャストする仕組みで(Bluetooth接続では再生不可)、どちらも新開発の全方位スピーカーを搭載した。
音響機器メーカーへのライセンス供与も進める。23日にはオーディオテクニカとラディウスが認定ヘッドフォンを秋に投入する計画を発表。リスナーは利用する音楽配信サービスによってヘッドフォン/スピーカーといった再生機器を選ぶことになる。
360 Reality Audioは、ボーカルやギターなどの音源に対して距離や角度といった位置情報を付加。リスナーを中心に全方位、最大24のオブジェクトを配置することで「その場に入り込んだかのように臨場感豊かに再生する」(ソニー)という。
ソニー・ミュージックレーベルズの中村隆志氏(執行役員、第1レーベルグループ代表)は、コロナ禍でライブが楽しめない現状に触れた後、「ピンチをチャンスに。360 Reality Audioの感動は世界が平常を取り戻した後も受け入れられ続けると確信している」とエールを送った。
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