「低遅延」をうたうゲームキャプチャデバイス「Genki Shadowcast」でのプレイは現実的か ノートPCがコンシューマーゲーム機のディスプレイに早変わり(5/5 ページ)
「このキャプチャユニットで、PCのディスプレイを使ってゲームができないか」という夢がかなうかもしれない。
では遅延はどうか?
毎秒240コマのスロー動画を撮影し、「パッドのボタンを押したあと、メニューが反応するまでのコマ数」を計測し、10回分を平均した値である。このコマ数は、ゲーム機(ここではPS5)側の反応速度+各デバイスでの表示遅延の組み合わせで、デバイス遅延そのものではないことに留意していただきたい。比較として、テレビでの数値も合わせて記載する。このテストは厳密なものではないが、それなりの指針にはなるだろう。
- テレビ:12.8コマ(約0.053秒、60分の1フレームにして3.2コマ分)
- 一般的なUVCデバイス、QuickTime Player表示:28.6コマ(約0.119秒、60分の1フレームにして7.15コマ分)
- Shadowcast、QuickTime Player表示:15.8コマ(約0.066秒、60分の1フレームにして3.95コマ分)
- Shadowcast+Genki Arcade、Favor Performance:15.4コマ(約0.064秒、60分の1フレームにして3.85コマ分)
- Shadowcast+Genki Arcade、Favor Resolution:18.4コマ(約0.077秒、60分の1フレームにして4.6コマ分)
比べてみると、「ベストな状態でもテレビより僅かに遅延が大きい」感じだ。とはいえ、Genkiは「0.02秒のデバイス遅延」としているので、テレビとの比較を考えると、その言葉はそこまで間違ってはいなさそうだ。
そしてそれでも、一般的なUVCデバイスに比べ遅延は半分強というところだろうか。このくらいだと体感ではっきりと違う。
では「パフォーマンス優先」と「解像度優先」でどちらがいいのか? 正直、3D系のゲームだと分かりにくい。そもそも表示遅延や動作補完が多数あるためだ。対戦などでは差が見えてきそうだが、筆者は得意ではないしそこまでのテスト時間もない。格闘ゲームなどでの遅延体感も同様だ。
筆者が日常的にプレイするゲームで一番遅延が操作に反映されて、分かりやすいのがEnhance Gamesの「テトリス・エフェクト」だ。ズレがあると気持ち良くブロックを落とせなくなっていく印象が強い。
今回も軽くプレイしてみたが、
- Shadowcast+Favor Performance:ちょっと違和感があるが問題というほどではない
- Shadowcast+Favor Resolution:違和感が広がってミスが増えていく
- 一般的UVCデバイス:操作とのズレがひどくてプレイにならない
という感じだった。確かにこれは、「ゲームを想定したUVCデバイス」といって間違いなさそうだ。
Shadowcastが一般販売される時の価格は49ドル。日本だと6000円くらいではないかと予想される。ゲーマーはもちろんだが、“遅延なく高画質できるコンパクトな機器が欲しい”人も気にかけておいて損はない。
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