公取委がクラウドサービスの実態調査に着手 寡占化にメス
公正取引委員会(公取委)がクラウドサービスを対象とした実態調査を開始すると発表した。調査を踏まえ、独占禁止法や競争政策上の論点を整理する方針。AWSやGoogleなどが対象になるとみられる。
公正取引委員会(公取委)は4月14日、クラウドサービスを対象とした実態調査を始めると発表した。一部の事業者による寡占化への懸念が高まっているためとしており、公取委は実態調査を踏まえ、独占禁止法や競争政策上の論点を整理する方針。
米Amazon Web Services(AWS)や米Googleなど、クラウドサービスを提供する巨大ITベンダーが対象になるとみられる。公取委は今後、市場の取引状況などについて事業者やユーザーを対象にヒアリングやアンケート形式で調査する。調査期間や結果の公表時期は未定。担当者は「あくまで市場環境の調査が目的で、特定の企業による違反を調査するわけではない」との見解を示している。公取委によると、欧米の競争当局がクラウドサービスについて調査し、公表した事例は現時点では存在しないという。
企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)やコロナ禍によるテレワーク導入でクラウドサービスへの需要が高まっている。菅久修一事務総長はクラウドサービスについて「市場の寡占化が進んでいるとの指摘や、別のクラウドサービスへの移行に時間や費用がかかるため、それが競争を阻害しているという指摘がある」と述べた。
公取委がデジタル分野の実態調査に着手するのは3度目。過去にはECサイト・アプリストア、デジタル広告について調査しており、それぞれ2019年10月、20年2月に報告書を公表している。
公取委は併せて、実態調査のために外部から任期付き職員1人を公募することも発表した。
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