「Chrome 90」の安定版公開 HTTPS接続強化や低帯域幅での動画改善など
GoogleがWebブラウザの最新版「Chrome 90」の配信を開始した。URLを入力するとデフォルトでHTTPS接続にpingするようになった。また、WebRTCでAV1エンコーダーが利用可能になったため、帯域幅が狭くても動画を視聴できるようになる。
米Googleは4月14日(現地時間)、Webブラウザ安定版のアップデートとなる「Chrome 90」(バージョン90.0.4430.72)をWindows、Mac、Linux向けに公開した。数日かけてロールアウトしていく。
一般ユーザー向けの新機能としては、アドレスバーにURLを入力するとデフォルトで「https」扱いになることと、動画の高圧縮率が特徴のAV1エンコーダの利用が可能になることだ。
URLを入力するとデフォルトでHTTPS接続に
HTTPSは、ネットワークを介して送信されるトラフィックを暗号化することでユーザーを保護するプロトコル。バージョン89までは、アドレスバー(Chromeではオムニバー)に例えば「example.com」のようなURLを入力すると、まず「http://example.com」をpingしてから「https://example.com」にリダイレクトしていたが、バージョン90からはまず「https://example.com」にpingするようになり、より安全になる。そもそもWebサイトがhttpsに対応していなかったり、ドメイン名が間違っていたりする場合は、自動的にhttp接続になる。
Chromeブラウザは既に、HTTPプロトコルを介して配信されるファイルのダウンロードはブロックしている。
WebRTCでAV1エンコーダーが利用可能に
WebRTCは、Webブラウザでのリアルタイムコミュニケーション(RTC)を可能にすることを目的としたオープンプロジェクトで、この1月にW3CとIETFの標準になった。AV1はGoogleも参加するAlliance for Open Media(AOMedia)が開発した動画圧縮コーデック。AV1はオープンソースでロイヤリティフリーで、H.265と比較して処理速度も圧縮率も格段に高いことが特徴だ。Googleは、優れた圧縮効率と帯域幅の消費削減により、帯域幅が30kbps以下でも動画を視聴できるとしている。
セキュリティ関連の修正
スリップストリームNAT攻撃を回避するため、ポート554でHTTP、HTTPS、FTPサーバへの接続をブロックするようになった。
脆弱性の修正は、危険度が上から2番めの「High」6件を含む37件。
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