Tesla Model Sの炎上事故、自動運転ではなかった可能性ありとNTSB
Teslaの「Model S」がカーブを曲がりきれずに木に衝突し、炎上した事故を調査中の米国家運輸安全委員会(NTSB)が予備報告を公開した。再現テストでは、自動運転を有効にできなかったとしている。
米国家運輸安全委員会(NTSB)は5月10日(現地時間)、4月17日に起きた米Teslaの「Model S」衝突炎上事故に関する予備報告を発表した。この事故では、自動運転が作動していたかどうかが注目を集めているが、事故現場での再現テストでは、自動運転を有効にできなかったとしている。
この事故は、2019年製造のModel Sのオーナー(59)とその友人(69)が乗車し、カーブを曲がりきれずに縁石を越えて道路を飛び出し、木に衝突して炎上したというもの。オーナーの自宅のホームカメラの映像には、オーナーが運転席に乗り、友人が助手席に座る様子が映っていた。だが、事故を調査した地元警察は、事故発生時点で運転席は無人だったと語った。
乗っていた2人は、衝突でModel Sの高電圧リチウムイオンバッテリーケースが損傷して発生した火災で焼死した。車載ストレージも破壊されたが、車速、シートベルトの状態、加速、エアバッグの展開に関連するデータを記録するモジュールは回復できたため、現在NTSBが解析中だ。
Tesla車で自動運転を有効にするには、「Traffic Aware Cruise Control」と「Autosteer」の2つの機能を有効にする必要があるが、再現テストでは後者を有効にできなかったという。Autosteerは車線維持支援システム。事故が起きた道路は1車線で、センターラインはない。
Teslaのイーロン・マスクCEOは4月19日、「(事故を起こした車の)データログによると、少なくとも自動運転モードにはなっておらず、この車両は完全自動運転対応(FSD)ではなかった」とツイートしている。
NTSBは、地元警察、Tesla、運輸省道路交通安全局(NHTSA)と協力し、調査を続けるとしている。
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