“アクキーの出し汁”に着想 FeliCa内蔵「推し払いキーホルダー」開発秘話(2/2 ページ)
「好きなキャラのキーホルダーで電子マネーを決済できる」──ソニーが4月に発表した「推し払いキーホルダー」が注目を集めている。商品化に至った経緯やネーミングの由来などを、開発のキーマンたちに聞いた。
商品名が“推し払い”になったワケ
そんな推し払いキーホルダーだが、小野さんは命名のきっかけについて「推しのアクキーから出る出し汁」という発想が基になったと話す。一体どういうことか。
「商品化に向けたリサーチ中、アクキーをカップ麺に漬けて『推しから出る出し汁が今日もおいしい』と投稿している人をSNSで見かけ、アクキーに鑑賞以外の用途を求める人がいることを確信した。商品名で『推し』と『具体的な用途』が両立できれば、こういった人たちに訴求できると思い『推し払い』という言葉をひらめいた」(小野さん)
まどマギ以外のアニメ・ゲームもアクキーに 個人の発注は「将来的に」
中野さんの奔走と小野さんのひらめきを経て商品化に至った推し払いキーホルダー。試験販売している2商品の予約数も当初の想定を上回る勢いといい、今後は「鬼滅の刃」をはじめとしたソニーが関わる他のIPにも手を広げる方針だ。
「もともとは自分が『Fate』や『まどマギ』など、ソニー子会社のアニプレックスが関わるアニメが好きだったことから、第1弾はまどマギになった。他のIP、中でも女性向けIPの活用は前々から検討している」(中野さん)
ソニーのIPだけでなく、他社IPのキーホルダーも生産を検討中だ。小野さんによれば、アニメ、アイドル、ゲーム、バーチャルYouTuber事業などを手掛ける複数の事業者から、「キーホルダーを作りたい」という問い合わせが相次いでいるという。
絵柄のバリエーションに加え、FeliCaを活用した機能追加も視野に入れている。中野さんによれば、推し払いキーホルダーは楽天Edy以外の電子マネーを決済することも可能なため、サービス事業者の要望があれば対応する方針という。
FeliCaは電子チケットや会員証としても活用が可能だが、新たな機能の追加については「FeliCaは決済以外にもいろいろな用途で使われている。そういった想像も膨らませておいてもらえれば」(中野さん)としている。
一方、個人からの受注については、現時点では小ロットの発注を受け付けられず、実現が難しいという。ただし、要望があることは承知しているため、将来的には手を広げていく方針だ。
「電子マネーを推しに払ってもらう、もしくは推しに還元するなど、使うことでさまざまな想像が膨らむアイテムだと思う。使い方はユーザー次第だが、“痛バッグ”“痛車”のような形で定着するとうれしい」(中野さん)
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