「ちゃんと見ててやる」――頼れる“推し”がすぐそばに 女性エンジニア増加でプログラミング教材に変化(1/2 ページ)
「大丈夫だ、ちゃんと見ててやる」「ちゃんと解けててすごいよ!」――自分が気に入った“推し”キャラクターのアドバイスや励ましを受けながら、プログラミングを学べるRPGがある。ITエンジニア向け求職・学習サービスを展開するpaiza(東京都港区)が開発した「推しと学べるプログラミング」(以下、「推しプロ」)だ。これまで多くのプログラミング学習ゲームを提供してきたpaizaが、初の女性向けコンテンツとして8月から無料で公開している。
なぜ女性向けのゲームを開発し、無料で提供しているのか。同社の代表取締役社長CEO片山良平さんとコンテンツ企画部長の鹿野又裕子さんに聞いた。
「女性向けコンテンツを」のニーズに対応
推しプロはタイトル名の通り、自分の“推し”のエンジニアとともにプログラミング問題を解き、クリアを目指すゲームだ。主人公(ユーザー)は近未来のエンジニア育成施設の新入生という設定で、各ステージに用意された3分程度の学習動画で予習・復習をしながら初心者でも楽しんで学習できるという。言語はPython、PHP、Ruby、Java、C、C#、JavaScript、C++、Kotlinから選べる。
推しプロが生まれた理由を片山さんは「paizaの求職・学習サービスを利用する女性ユーザーが増加したことが挙げられます」と説明。2020年8月時点でサービス全体のユーザー数は35万人を突破。そのうち女性ユーザーは約10%程度だが、サービスの提供を始めた2013年ごろに比べると倍になったという。
「最近は家庭を持ちながら活躍する女性のプロジェクトリーダーも増えています」と鹿野又さんも話すように、男性エンジニアに比べて数自体はまだまだ少ないが女性エンジニアが以前より増えていることは確かなようだ。
その背景について「ITエンジニアは『裁量労働制で高収入』『働く場所を選ばない』『手に職が付けられる』といった特徴があり、ライフスタイルの変化に対応しやすい職種である点が大きいのではないでしょうか」と片山さん。「スマートフォンが普及してアプリやWebサービスが身近になったことや小学校や中学校でプログラミング教育が必修化されるなど社会の変化も、女性がプログラミングに興味を持つ一因になっていると思います」と分析する。
こうした理由や背景からか、女性ユーザーやpaizaの教育機関向けプログラミング学習サービスを利用する学校の教員から「女性にもなじみやすい学習コンテンツが欲しい」という声が上がるようになった。それまで同社は問題を解きながら進めるRPG「コードクロニクル」や男性向けのゲーム「プログラミングで彼女を作る」などを製作。既存のゲーム開発で培った知見を生かし、女性向けコンテンツを作ることにした。
「プログラミングで彼女を作る」の“彼氏版”?
ゼロベースのスタートではないとはいえ、同社にとっては初の女性向けタイトル。「男性向けで人気の高かった『プログラミングで彼女を作る』を単純に『プログラミングで彼氏を作る』に変えるのは感覚的に何か違うと思いました」と片山さん。鹿野又さんは「どうすれば女性に刺さるのか、何が継続のモチベーションになるのか、既存のゲームを比べながら手探りで探っていきました」と振り返る。
特に配慮したのは、女性が抵抗感を抱きにくい内容やビジュアルにすることだった。プログラミングスキルを磨くには学習を続けることが重要だ。そこで問題を解きながらゲームを進めクリアを目指すRPGなら、性別関係なく楽しんで続けられると考えたという。
キャラクターのデザインにもこだわった。スマホのゲームアプリが浸透した現在は、二次元のキャラクターにアレルギー反応を示すほど嫌悪する人は少ないだろうと踏んだ。ただし見た目が“萌えキャラ”に傾倒しすぎると、女性には響きにくいかもしれない。そこで男女両方のキャラクターを用意し、クールで硬派なタイプや明るく雰囲気が柔らかいタイプなどキャラクターの個性に応じてユーザーが選べるようにした。
ゲームのタイトルはあえて“推し”という言葉を採用。もともとは自分が応援するアイドルを指すときに使われることが多かった言葉だが、漫画のキャラクターやスポーツなど幅広いシーンで一般化しつつあるとして、使うことに決めたという。
開発に約半年間かけて推しプロをリリースしたところ、反響は上々だという。
「これまで『paizaは気になるけど男性向けが多いしな……』と躊躇(ちゅうちょ)していた女性だけでなく、男性からの評判も上々でした。女性に加え新規の男性ユーザーも増えたことはうれしい誤算でした」(片山さん)
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