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「Google フォト」対「iCloud」 プランの比較から見る各社の狙いGoogle フォトの容量無制限終了で考える(1/2 ページ)

「Google フォト」の無料無制限バックアップサービスが、2021年5月末に終了する。移行を検討するユーザーにとって、移行先の有力候補の一つである「iCloud」と比較し、各サービスの狙いを読み解く。

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 「Google フォト」で提供されている無料無制限バックアップサービスが、2021年5月末に終了する。現在、Google フォトに「高画質」設定(写真は最大1600万画素、動画は1080p)でアップロード、バックアップした写真や動画はGoogleアカウントの保存容量にカウントされていないが、2021年6月1日以降は容量にカウントされるようになる。

 一連のニュースはネット上でも大きな反響を呼び、「Google One」の有料プランに加入してGoogle フォトを継続利用するか、他のクラウドストレージサービスに乗り換えるか検討するユーザーも見受けられた。

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Google フォトの容量無制限無料バックアップが、2021年5月末で終了する

 各ユーザーが検討する中、米Appleが提供するクラウドサービス「iCloud」も移行先の有力候補となり得るだろう。日本国内のスマートフォンユーザーのうち、6割以上がiOS(iPhone)を使用しているとされ、親和性が高いからだ。本稿ではiCloudの提供プランやサービスの違いを中心に、同社の狙いを考察する。

iCloudとGoogle One、月額料金に大きな差はなし

 iCloudは、Apple IDで利用可能なストレージサービス。無料で利用できる容量は5GBまでとなり、Google Oneの15GBと比較して大きく差が見られる。

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iCloudのプラン
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Google Oneのプラン

 iCloudには、iPhone/iPad本体のデータのバックアップ、端末の設定、メールやメッセージなど、写真や動画以外のファイルも保存可能だ。つまりGoogle Oneと同様、全ての保存容量を写真や動画のみで使えるわけではないことにも注意したい。

 いずれにせよ、容量を使い切ってしまった場合は追加料金の支払いを検討することになるだろう。iCloudの有料プランは、月額130円で50GB/月額400円で200GB/月額1300円で2TBの3プランが提供されている。

 以下の表は、iCloudとGoogle Oneの保存容量と利用料金をまとめたものだ。

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プラン比較表

 iCloudとGoogle Oneの料金を比較してみると、最安のプランを除き、保存容量と利用料金に大きな差は見られない。また、Google Oneで用意されている10TB以上の大容量プランについては用意されていない。

 なお、Google Oneでは年間プランも選択できるが、表中には記載していない。年間プランは10カ月分の料金で12カ月利用できるというもので、100GB/200GB/2TBのプランに用意されている。年間を通して継続利用することが確実であれば、年間プランを利用することで実際に支払う金額を安価に抑えられる。

 一方、iCloudの年間プランは2015年9月に廃止されており、現在は提供されていない。

 バックアップした写真データは、iCloudの「iCloud写真」に保存される。iPhone/Macの写真アプリ、Windows向けのiCloudアプリ、ブラウザ上から閲覧可能だが、Android向けのアプリは提供されていない。

 ここでAppleがAndroidスマートフォン向けに提供しているアプリを見てみると、「Apple Music」「iOSに移行」「Beats」アプリの3つのみだ。同社はiPhoneやiPad、Mac向けにオフィススイート「iWork」や動画、音楽制作アプリの「iMovie」「GarageBand」など幅広いアプリを無料提供していることから、各サービスを通じて自社製品へ囲い込む戦略が見えてくるだろう。

 写真は「年別」「月別」「日別」「すべての写真」に整理され、埋め込まれているジオタグ(位置情報)をもとにした撮影地や被写体のカテゴリー(「動物」など)、登録した人物名による検索など、基本的な検索機能も用意されている。

 ただ、Google フォトの検索機能は、他社のサービスと比較して機能・精度の面で特に優れている印象だ。具体的には、画像内に書かれた文字列での検索や、Googleマップにおけるタイムライン機能を利用した移動履歴による撮影場所の自動推定など、Googleが持つ技術やビッグデータを存分に活用したものだろう。これらの機能を活用しているユーザーからすれば、iCloudへの移行で不便に感じる面も大きくなりかねない。

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