避難所の“密”を防ぐ「ダンボール・スリープカプセル」、年内登場
工学院大学はコトブキシーティングと共同開発した「ダンボール・スリープカプセル」が、フランスのDNAパリデザイン賞を受賞したと発表した。
工学院大学は6月29日、建築学部・鈴木研究室(鈴木敏彦教授)がカプセルベッド大手のコトブキシーティングと共同開発した「ダンボール・スリープカプセル」が、フランスのDNAパリデザイン賞を受賞したと発表した。年内にコトブキシーティングが製品化するという。
海外との輸出入に用いる強化ダンボール製の箱を改造し、出入り口と採光と換気用の窓を設けた避難所用のカプセルベッド。大きさは1つあたり2300(幅)×1230(高さ)×1120(奥行き)mm。
カプセルを重ねて2階建てとし、互い違いにした入口の前に机と椅子、収納が置ける専用スペースを設けた。「いわば二世帯住宅の前にそれぞれの庭がある構成」で、感染予防に配慮しながらプライベート空間を確保できる。
カプセル設置面積は2m2。専用スペースの1.5m2を合わせると「スフィア基準」(被災者に人道的支援を行う機関などが守るべき国際基準の通称)で推奨する避難所の最低居住空間と同じ1人あたり3.5m2となる。2階建てのため避難所のスペースを有効活用できる他、備蓄時はコンパクトで使用後は資源ゴミとして処理できるなどの利点がある。
鈴木教授は「中銀カプセルタワー」などで知られる建築家・黒川記章さんの薫陶を受けた研究者で、東日本大震災を機にダンボールシェルターを開発していた。2000年からコトブキシーティングと共同で開発を進め、今年3月には自治体のワークショップでダンボール・スリープカプセルのトライアルを実施している。
コトブキシーティングは映画館や会議ホールの椅子の製造や導入を手掛ける大手メーカー。1979年に黒川記章さんのカプセル住宅に影響を受けた世界初のカプセルホテル「カプセルイン大阪」が開業した際にカプセルベッドの製造を請け負い、これまでに6万床を販売してきたという。
DNAパリデザイン賞(DNA PARIS DESIGN AWARDS 2021)は建築やインテリア、製品など様々なデザインを表彰するフランスのアワードで、ダンボール・スリープカプセルは「プロダクトデザイン/人々のためのデザイン」を受賞した。
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