ベタ塗りの落書きがリアルな風景画になる「NVIDIA Canvas」の実力 “美術2”の記者でも絶景は描けるか(1/2 ページ)
米NVIDIAがβ版を公開した「NVIDIA Canvas」。ベタ塗りの落書きをAIで風景写真のように変換するツールだが、素人でもクオリティーの高い作品は作れるのか。学生時代、美術2だった記者が試す。
米NVIDIAが6月23日(現地時間)にβ版を公開したイラスト作成ツール「NVIDIA Canvas」。同社が開発したAI技術「GauGAN」(ゴーギャン)を活用しており、ベタ塗りの落書きを風景写真のようなイラストに変換できる。「風景を無限に作れる」「素人でも簡単に背景を描ける」として、公開直後からSNSでも話題になっている。
イラストの心得がなくても風景画が描けるこのツール。そこで学生時代、美術の成績が5段階評価で2だった記者が実際に体験し、絵が下手な人でもクオリティーの高い作品が作れるのか、ツールの使い心地を確かめた。使ってみると、絵の上手さだけでない別のスキルが求められることが分かった。
15種類のペンでベタ塗り→AIが自動変換
NVIDIA CanvusはNVIDIA製のGPU「RTX」シリーズとWindows 10を搭載したPCで動作する。今回、記者はGPUに「GeForce RTX 3060 Ti」、CPUに米AMDの「Ryzen 7 3700X」、16GBのメモリを搭載したPCで、マウスを使ってイラストを作成した。
ツール内には「山」「森」「岩」など15種類のペンがあり、これらを使ってキャンバスAにイラストを描く。するとAIがイラストを自動で変換し、キャンバスBに反映する。
例えば山のペンでキャンバスAに三角形を描くと、キャンバスBに風景写真のような山が現れる。ペンは他にも「雲」「水」「雪」「霧」「空」などがあり、これらを組み合わせてイラストを作る。
イラストの雰囲気を9種類で切り替える機能も搭載。それぞれ光の当たり具合や色味が異なり、絵のイメージを変えられる。
通常のイラスト制作ソフトと同様、直線、消しゴム、塗りつぶし、スポイトツールも備える。ペンの太さも調整可能で、キャンバスA・Bどちらかを非表示にすることも可能だ。それぞれのキャンバスにズームイン・ズームアウトすることもできる。
イラストのレイヤー分けも可能で、ファイルはPNGかPSD形式で出力できる。PSDの場合はレイヤー構造も保存できるため、「Photoshop」などで改めて編集できる。
関連記事
- ベタ塗りがリアルな風景に──NVIDIAがAIイラストツールを無料公開 作ったデータはレイヤーごとPhotoshopへ引き継ぎ可
米NVIDIAが、簡単なベタ塗りを風景写真のようにAIが自動変換するツールを公開。公式サイトでβ版を無料公開している。 - ベタ塗りの落書きをリアルな風景に変える「GauGAN」、NVIDIA開発
ベタ塗りで書いた落書きが、ディープラーニング技術によってポスト印象派のようなリアルな風景画になる技術をNVIDIAが発表した。 - AIで漫画のキャラを自動着色、作業時間を半分以下に ピクシブとPFNが法人向けに試験提供
ピクシブとPreferred Networksは5月28日、AIで漫画のキャラクターを自動着色するサービス「Petalica Paint for Manga」の試験提供を法人向けに始めた。着色にかかる作業時間を手作業の半分以下に減らせるという。すでにDNPなど3社が利用を始めている。 - 東映、アニメ背景制作をAIで効率化 写真をイラスト風に自動変換、前処理を1/6に短縮
東映アニメーションが、PFNのAI技術を活用してアニメ制作を効率化する実験を行った。背景写真をアニメ調やサイバーパンク調に自動変換することで、美術クリエイターが画像の前処理にかける時間を従来の約6分の1に短縮できた。 - 顔写真が30秒で似顔絵に AIが自動生成、画風は5種類
ラディウス・ファイブが、AIを活用し、顔写真を基に似顔絵風の画像を生成するサービスの提供を始めた。ファイルをドラッグ&ドロップすれば、30秒ほどで似顔絵風の画像を作成できる。広告などで使用するデザインの素材としての利用を見込む。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.