新型Switchのちぐはぐな仕様、狙いは“巣ごもり携帯機”? 新機能を読み解く(2/2 ページ)
任天堂が発表したNintendo Switchの新モデル。いくつかの新機能を搭載しているが、一見方向性がちぐはぐで、ヘビーユーザー・ライトユーザー双方にとって中途半端だ。このモデルが一体どんな需要を見込んだ製品なのか、新機能や発売日以降にリリースされるゲームから読み解く。
有線LAN端子はゲーム実況を意識?
こうなると、疑問になるのがTVモードでの利用を前提とした有線LAN端子の存在だ。携帯モードでの利用を見込むのであれば、この機能は不要に見える。しかしこれも、コロナ禍で人気を増すゲーム実況、特に生配信を踏まえた機能とみれば合点がいく。
“ライブ感”が重視される生配信において、接続不良でゲームが進まない、通信が切断されるといったトラブルは致命的だ。しかし有線であればこういった事態を回避、軽減できる。任天堂は2018年にゲーム実況を認めるガイドラインを制定した他、20年にはバーチャルYouTuber事務所「にじさんじ」による著作物の利用も許可しており、こういった背景を意識したとみられる。
処理性能の強化はもう少し先か
とはいえ処理性能の向上やバッテリーの強化、4K出力への対応などを待ち望むヘビーユーザーからすれば、今回の新モデルは期待外れとも取れるだろう。
だが、ヘビーユーザー向けのハイエンドモデルの希望が絶たれたとは言い切れない。任天堂は2022年、「Pokemon LEGENDS アルセウス」「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」の続編、そして「スプラトゥーン3」の発売を控えている。
すでに公開された映像やシリーズ作品を見る限り、これらはいずれも3D空間を縦横無尽に動き回る、つまりある程度のスペックを要求するゲームだ。特にスプラトゥーンシリーズはeスポーツとしての人気もあり、任天堂もコロナ禍以前にはよくイベントを開催していた。
当然、ゲームソフト自体の需要も大きいため、「旧モデル持ってるけど、せっかくだしハードと一緒に買おう」といった動きも見込めるはずだ。仮に処理性能を向上したモデルを発売するなら、これらのタイトルをリリースするタイミングに合わせるのが妥当だろう。
コロナ禍・テレワーク意識したモデルの行く末は
Nintendo Switchはソフトの人気もさることながら、コロナ禍の巣ごもり需要の影響を受けて躍進したハードウェアだ。今回の新モデルでは、その方向性をより強化したとみられる。
この判断が正しいかは不明だが、テレワークが浸透し、ワクチンの接種が滞る自治体も出ている現状では、少なくとも日本では巣ごもりがもう少し続くことは間違いない。ムードやタイミングさえ合えば、新モデルはNintendo Switchの人気をさらに推し進めるきっかけになるかもしれない。
関連記事
- Nintendo Switchに新モデル、有機EL搭載で有線LANに対応 3万7980円で10月8日発売
任天堂がNintendo Switchの新モデル「Nintendo Switch 有機ELモデル」を発表した。新たに有機ELディスプレイや有線LAN端子を搭載。価格は3万7980円で、10月8日に発売する。 - 「Nintendo Switch 有機ELモデル」予約は9月下旬から
任天堂は「Nintendo Switch 有機ELモデル」の予約受付を「9月下旬」に始める。発売日は10月8日。 - Nintendo Switchに「関数電卓」配信開始 学生やエンジニアの利用を想定
英国のゲーム開発スタジオが、Nintendo Switch向け関数電卓ソフト「Calculator」の配信を開始。学生やエンジニアの利用を見込んでいるという。 - Switch、国内販売台数が累計2000万台を突破 ソフトは「あつ森」がトップ
任天堂の家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」の国内販売台数が累計2000万台を超えた。「ファミ通」が2日に発表した。 - “ダイパリメイク”、11月19日発売 新作「アルセウス」は22年1月末に
任天堂とポケモン社は「ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール」を2021年11月19日に発売すると発表しました。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.