東京オリンピック・パラリンピックの表彰台は、3Dプリンタで作られた――制作プロジェクトを統括した田中浩也教授が所属する慶応義塾大学が7月12日、詳細を発表した。
金・銀・銅メダルの受賞者が立つ五輪の表彰台は、複雑な3Dレリーフ形状。全国から回収した24.5トンの再生プラスチックを原料に、計98台が3Dプリンタによって作られたという。
田中研究室は、廃プラスチックを3Dプリント可能にするため、廃ガラスと組み合わせた材料改質研究に取り組んだ他、表彰台を高速・高品質に作るための工作機械プログラミングを担当。完成させた製造データを基に3Dプリント業者が量産したという。
3Dプリンタによる設計を前提とすることで、大会エンブレムをベースにした複雑な形状が実現可能に。多数の関係者の意見を採り入れながら柔軟に設計変更することも可能だったという。材料押し出し方式だと製造過程でゴミがほぼ出ず、騒音も少ないため「環境にも人にも優しい製法」として東京五輪・パラリンピックの基本コンセプトと合致したとも説明している。
プロジェクトでは、田中研究室の卒業生・研究員・学生が連携し、研究開発から製造設計までを担った。デザインは、大会エンブレム制作者で美術家の野老朝雄氏が担当。田中研究室の卒業生でもある平本知樹氏が3D製造の可能性を見いだし、プロジェクト全体をディレクションしたという。
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