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長引くコロナ禍、オフィス再開は可能か? 柔軟な従業員ケアが焦点にウィズコロナ時代のテクノロジー(1/3 ページ)

オフィス再開に関連した人事系ソリューションについて。

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 デルタ株の猛威により、企業担当者にとっては出社再開が遠のいてしまった。そんな中、人事系ソリューションにも改革が求められている。


 新型コロナウイルスの新たな変異株「デルタ株」が猛威を奮っている。米疾病対策センター(CDC)の発表によれば、この変異株は従来のものよりも感染力が強く、水痘(水ぼうそう)に肩を並べるほどだという。

 厚生労働省のWebサイトでは、水痘は日本国内で年間100万人程度が発症していると解説されている。もちろん単純な比較はできないが、何の感染対策も取られなければ、この規模での感染が発生しうるほどの感染力だといえるだろう。さらにデルタ株の場合、ワクチンを接種していても感染する恐れがあることが指摘されている。

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水痘に関する情報

 そのため専門家たちは、ワクチン接種が進んだ地域であっても、これまで通りの感染対策(ソーシャルディスタンスの確保やマスクの着用など)が必要になる可能性を示唆している。実際にCDCは、マスク着用に関する指針を変更し、ワクチンを接種した人も引き続きマスクを着用すべきだという主張に転じている。

オフィスを再開すべきか?

 こうした事態に頭を悩ませているのが企業だ。IT業界の中には、完全バーチャルで物理的なオフィスを持たない企業もあるが、大半の企業では「大勢の従業員が出社して勤務する」というこれまで通りのスタイルが維持されている。そのためウイルスの感染力は、従業員を出社させるべきか否かという判断に大きく影響する。

 ワクチン接種者の割合が順調に上昇していた米国では、多くの大手企業がオフィスを再開し、従業員を呼び戻す計画を表明していた。しかしデルタ株の流行を受け、その計画を撤回したり、延期したりする企業が現れている。例えば米Appleは、9月上旬としていたオフィス再開計画を、少なくとも1カ月延期して10月以降にすることを決定したと報じられている。

 オフィス再開という判断を下した場合でも、それで難しい意思決定が終わるわけではない。米Twitterは、7月に出社率50%という上限を設けた上でオフィスを再開しているが、出社はワクチン接種を済ませた従業員のみを対象とするとしている。またオフィスに出社した従業員に対して、建物内でのマスク着用を義務付ける企業もみられる。

 オフィスを再開すべきか、それはいつ頃が良いのか、出社率の上限をどこに置くか、誰に出社を許可するか、オフィス内での行動にどのようなルールを課すべきか――少なくともこうした要素を計算に入れた上で、企業は一定の結論を下し、定期的に見直して修正しなければならない。しかし企業にとって重要なのは、あくまでも利益を追求することだ。

 従業員がコロナ感染しないように対策して終わりではなく、その上で生産性を追求しなければならない。例えば従業員の50%をオフィスに安全に呼び戻せるとしても、多くの従業員がテレワークに満足し、効率的に作業できている状況があるとすれば、無理に出社を求める必要はないだろう。逆にテレワークしていた従業員をオフィス出社に戻すことで、精神的なストレスを与えてしまう恐れも指摘されている。

 こうした企業の意思決定を支援すべく、人事系ソリューションの高度化が進んでいる。

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