ゲーム業界の“男性育休”、上司は98%が肯定 マネジャー層に課題も セガやスクエニなど4社が調査:CEDEC 2021
ゲーム業界は男性の育児休暇に理解があるが課題もある──セガやスクウェア・エニックスなど4社がこんな調査結果を明らかにした。育休を取得した人に「育休を申請したときの上司の反応」を聞いたところ、98%以上が肯定的な返答をした一方、マネジャー層の育休取得率が低い現状も明らかになったという。
ゲーム業界は男性の育児休暇に理解があるが課題もある──セガやスクウェア・エニックスなど4社は8月24日、こんな調査結果を明らかにした。育休を取得した人に「育休を申請したときの上司の反応」を聞いたところ、98%以上が肯定的な返答をした一方、職種別に見るとディレクターやプロデューサーといったマネジャー層の育休取得率が低い現状も明らかになったという。
調査は8月8日までにオンラインで実施。ゲーム業界における男性の育休に関するアンケートに答えた416人のうち、過去に育休を取る機会があった男性160人に聞いた。結果はゲーム開発者向けのオンライン講演イベント「CEDEC 2021」(8月24〜26日)で発表した。
職種別の育休取得率は、最も高いのがエンジニアで52.8%、次いでマーケティング・営業が50.0%、ゲームデザイナーが33.3%、人事・総務などが32.4%、アーティストが31.6%、ディレクターやプロデューサーが最も低く13.2%だった。
企業の規模別に見ると、最も男性の育休取得率が高いのは、社員数が「300〜1000人」の企業(45.0%)だった。次に多いのは「20〜99人」(36.8%)で、以降は「1000人以上」(32.9%)、「20人以下」(31.3%)と続いた。最も低いのは「100〜299人」(21.7%)だった。
調査に協力したゲーム開発企業、ヒストリア(東京都品川区)の佐々木瞬代表取締役はこの傾向について「大きな企業は社会的責任が大きく、逆に小さな企業は自分(のようなトップが)制度を決められる。一方、100〜299人の企業はマネジャーの層が厚く、専門部署が整っているかどうかも怪しいので、ハンドリングが難しい規模になっているのではないか」と分析した。
このうち育休を取らなかった人にその理由を聞いたところ、最も多かったのは「収入が減ってしまうから」。2番目以降は「仕事が休めなかったから」「プロジェクトやパートリーダーを離れることになるから」で、最も少ないのは「取得しにくい雰囲気があるから」だった。
セガの竹内公紀さん(データアナリスト/課長代行)はこの結果について「将来の収入やキャリアへの影響、担当するプロジェクトの影響から取得を断念する人が多い(とみられる)」とコメント。
一方で、育休を取得した人に「育休を申請したときの上司の反応」を聞いたところ、98%以上が肯定的だったことから、調査に協力したセガサミーホールディングスの茂呂真由美さん(コミュニケーション推進課)は「ゲーム業界は一般的な業界に比べ(男性の育休に)理解があるといえるのではないか」としている。
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