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AirDropの先駆的技術だった「TransferJet」の現在と未来 超高速近距離通信の変遷デジタル・イエスタデイワンスモア計画(4/4 ページ)

TransferJetって終わった技術だと思っていたら、後継技術も出ているのでした。

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「復活のX」。次世代のTransferJetはタッチレス改札で採用

 2015年を機に動きが止まってしまったかのように見えるTransferJet。ファイル転送という点ではAirDropやNearby Shareにそのポジションを奪われてしまった一方で、超高速のワイヤレス通信という点では今もまだ新たな動きを見せている。

 2015年に発表した最後の新製品から2年後となる2017年、TransferJetの次世代規格「TransferJet X」が発表された。TransferJetの物理層で最大560Mbpsという通信速度に対し、TransferJet Xは最大13.1Gbpsの「IEEE 802.15.3e」をベースとし、桁違いの高速性を実現した。

 Tranferjet Xは、これまでのようなスマートフォンやデジタルカメラといったデバイス間のファイル転送ではなく、自動改札やデジタルKIOSK端末での利用が想定されており、従来のコンシューマー向け技術からビジネス向けに舵を切ったことになる。

 2020年に誕生したJR山手線の「高輪ゲートウェイ」では開業イベント「Takanawa Gateway Fest」でTransferJet Xを活用したタッチレス改札を展示した。従来のTransferJetは3cmという距離だったが、TransferJet Xでは距離も拡張し、対応端末を持っていれば改札にタッチすることなく「タッチレス」で改札を通過できる。

 TransferJet事務局によれば、2021年秋にもTransferJet Xの規格について発表する予定だ。すでにキーホルダー型の小型な端末は試作機の開発が完成しており、バッテリーレスのカード型端末開発なども検討するなど、次世代のTransferJetは着実に前進している。

 ファイル転送ではニーズが伝わりにくかったTransferJetだが、改札でスマートフォンやICカードを取り出すことなく「素通り」できるタッチレス改札は、TransferJetの魅力が非常に伝わりやすいソリューションといえるだろう。

 高輪ゲートウェイで行われた実験では、タッチレス改札の通過にはスマートフォン専用アプリが必要だった。仮にTransferJet Xの普及が進めば、最終的にはアプリが不要なファイル転送に戻ってくる期待も持てる。

 TranferJet X発表時にも「将来のモバイルトラフィック状況の改善」が上げられていることもあり、TransferJetによる超高速なファイル転送が新たな形でスマートフォンに復活することを期待したい。

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