Netflix、東京にアニメ制作の支援拠点 「人手不足で疲弊する制作会社を支援」
Netflixが、アニメ制作の支援に特化した新拠点を同社の東京オフィス内に開設した。当面は人手不足が深刻なアニメ制作初期のコンセプトアート作りなどに注力する。
Netflixは9月10日、アニメ制作の支援に特化した新拠点「アニメ・クリエイターズ・ベース」を同社東京オフィス内に正式オープンした。まずは人手不足が深刻なアニメ制作初期のコンセプトアート作りなどに注力する。同社初の試みで、日本に開設することでアニメ制作の支援拡充を進める狙いがある。
アニメ・クリエイターズ・ベースの機能は、コンセプトアートなどを描く「デザイナーズ・ガレージ」、脚本の打ち合わせをする「ライターズ・ガレージ」、VRやモーションキャプチャーなどを試す「ラボ」――の3つ。デザイナーやクリエイターが初期アイデアを練る場や、最新技術など積極的に導入する実験場としての運営を目指す。
当面はコンセプトアート制作を進め、絵コンテや脚本作りなどの前段階を強化する。Netflixの櫻井大樹氏(アニメチーフプロデューサー)によると、日本のアニメ制作会社は深刻な人手不足で、企画・制作初期段階を省略する傾向にあるが、同社は重要な工程と捉えているという。「制作関係者の間での作品イメージ共有や、作品の世界観を広げる上で大切。Netflixが(その工程を)提供することで作品作りに役立ててほしい」
同施設はパートナーシップを結ぶ制作会社の関係者や外部のクリエイター、監督、原作者などの活用を想定。気軽に足を運んで作品のアイデアを広げたり、企画が決まる前のイメージを絵にする取り組みなどを予定する。
こうしたアニメ制作支援の機能を持つ拠点は同社初。日本に開設した理由は、日本には多くのアニメ制作会社が集まる中、時間・人手不足で疲弊している制作会社が多数あるとして、理想的な作品制作をクリエイターと一緒に進めることだという。
Netflixが配信するアニメ作品は、年間1億2000万世帯で視聴され、100の国と地域でトップ10入りしている。櫻井氏は世界的に日本のアニメが人気の理由を「動画配信サービスが普及してアニメを見やすい環境が整った。加えて絵だから(作品内に映る要素が)国家や人種など関係なくて受け入れやすい」と分析。今後も日本産アニメに積極的な投資をしていく姿勢を見せた。
関連記事
- 米Netflix、CLAMPなど著名クリエイターと提携 日本発オリジナル作品のラインアップ強化へ
米Netflixが6人の著名クリエイターとともに世界190カ国向けオリジナルアニメの企画および制作を始める。動画配信でクオリティーの高いアニメ作品のラインアップを拡充したい考え。 - Netflix、予想を上回る増収増益 競合「Disney+」開始の米国の会員数増は鈍化
Netflixの2019年第4四半期の決算は、予想を上回る増収増益だった。世界での有料会員数も31%増の1億605万人と好調。だが競合する「Disney+」がスタートした米国での有料会員数増加率は鈍化した。 - 「映像作品から収益を得る」とはどういうことなのか 鬼滅、シン・エヴァ、ハサウェイに見るテクノロジーの破壊的変化
このところ、アニメ映画のヒットが続いているが、ビジネスとテクノロジーの変化がある。この問題を西田宗千佳さんが分析する。 - Netflix、ゲーム分野への進出を明らかに Netflix会員なら追加料金なしでプレイ
Netflix会員サービスの新たな柱とする計画だ。 - KADOKAWAが「サブスク手当」導入、月2000円 映像や音楽など140サービスの利用者に支給
KADOKAWAは従業員に毎月2000円を支給する「サブスク手当」を導入した。従業員のサブスク契約を支援し、余暇の充実とクリエイティブな発想を生み出すことが目的という。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.