服飾デザインに“バーチャルヒューマン”活用 KDDIがアパレル業界のDX支援 スマートグラスでファッションショーも
KDDIとKDDI総合研究所がアパレル業界のDX支援を始める。バーチャルヒューマンやスマートグラスを使い、商品企画やデザイン時のサンプル制作を効率化。資源を最小に抑えたモノづくりに貢献するという。
KDDIとKDDI総合研究所(KDDI総研)は9月10日、アパレル業界向けのDX支援を始めると発表した。人を模した3DCG「バーチャルヒューマン」やスマートグラス、5Gを使ったクラウドレンダリングを使い、商品企画やデザイン時のサンプル制作を効率化する。
第1弾として、KDDIが作成したバーチャルヒューマン「coh」に、高精細な3DCGの衣服を着せるシステムを開発。身に着けた様子を、スマートグラス「NrealLight」で確認できる。KDDI総研が開発した、向きや方位などの位置情報を特定する「Visual Positioning Service」(VPS)を使い、cohに近づいたり回り込んだりすることで、素材感やコーディネートを実寸大で見られるという。
実物サンプルなしに商品を確認できるため、サンプル制作のリードタイム短縮やコスト削減につながる。リモートでの商品イメージの共有もしやすいとしている。システムを応用することで、スマートグラスによるバーチャルファッションショーも配信可能。実物の制作には、1着分の糸のみを使って無縫製の完成品が出力できる「ホールガーメント横編機」を使用する。
アパレル業界では、商品の企画・デザイン段階では、多くの実物サンプルを制作するが、多くの時間とコストがかかる他、布地も廃棄処分される課題があった。このシステムにより、試作時の資源を最小限に抑え、環境に配慮したモノづくりに貢献するという。
同システムは、21日からイタリアで開催される「ミラノファッションウイーク」初日のコンテスト「Unicorn Fashion Award」に出展予定。両社は今後、企画やデザインだけでなく、販売、プロモーション、生産などのサプライチェーン全体のDXを支援するという。
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