“シネマティックは当たり前”の時代に? もう元には戻れないiPhone 13動画体験(5/5 ページ)
iPhone 13ファミリーで投入された「シネマティックモード」を中心に動画撮影機能を掘り下げてみた。
続いて、マクロ機能について見ていこう。
iPhone 13 Proのマクロ機能を使う場合、特別なことは何もしなくていい。カメラを構えて被写体にぐっと近づけば、自動的にレンズが切り替わる。使うのは超広角レンズなので、撮影スタート時は1倍を選んでおくと、切り替わる瞬間が分かる。被写体には最短2センチまで近づける。
今回はケーキやフルーツなど食べ物を撮影したが、モノによっては手触れてしまわないか気になるほどだった。マクロ撮影は、テクスチャーや植物、虫などの撮影に使われるイメージがあるが、筆者はマクロの動画撮影で、食べ物を撮影するのが気に入った。肉・パン・フルーツなどは、マクロだとシズル感が出せる。グルメブロガーなど、フード系の仕事についている人にもオススメできる。
なお、マクロ機能は通常動画のみで、シネマティック撮影には対応していないが、シネマティックモードでもかなり近距離まで寄ることはできるので、使い分けていくと良いだろう。
今回2日ほどかけて、各機能を使いたくさん撮影したが、シネマティック、スローモーション、HDR動画など、どのシーンでもフォーカスの移動にもたつきを感じることはなく、撮影後の処理も非常に速かった。また撮影した動画を加工するため、「iMovie」を使ったが、1.5GBほどある撮影データも、楽に書き出すことができた。
筆者は海外や展示会取材でiPhoneで動画取材をし、そのままiPhoneで編集してYouTubeにアップロードする仕事スタイルを2014年から続けている。だからこそ、撮影時や編集時の処理スピードには敏感な方だと自負しているが、iPhone 13 Proで撮影した動画をiMovieで編集し書き出したところ、あっという間に終わってしまった。GPUによるものなのか、その他の処理なのか不明だが、動画の処理速度は確実に速くなっていることが実感できた。
シネマティックモードがどの機種でも撮影できるとなると、悩んでしまうのが本体サイズ。筆者は写真と動画の撮影を追求したいので、iPhone 13 Proを購入したが、Pro Maxにするかどうかは直前までかなり悩んだ。
というのも、iPhone 12 Pro Maxを1年間愛用してきて、そのサイズ感の良さにも気づいていたからだ。ディスプレイが大きければ、YouTubeやNetflixなどのエンタメコンテンツも楽しめる。
同時期に発表されたiPad miniをPro Maxの代用品にするというアイデアもあるのだが、ProMotion搭載のスーパーRetina XDRディスプレイは文句なしに美しく、現在発表されているApple製品の中でもハイグレードなタイプなので、iPad miniだと、新モデルとはいえ、やや見劣りを感じる人もいるかもしれない。
Proのような充実したレンズは要らないけれど、シネマティックモードを気軽に撮影したいなら、オススメはiPhone 13 miniだ。5.4インチはとにかく軽く、ホールドしやすい。子どもやペットを抱き上げていても、安定して撮影できる。特に新色も美しいので、触っているうちに筆者も欲しくなってしまった。
どんなケースを装着するかによってもiPhoneの使用感は変わってくると思うので、その辺も含めて吟味したい。なお私はiPhoneケース専門家としても活動しているが、iPhoneのPro Maxシリーズは、残念ながらそのサイズを取り扱っているメーカーが少ない。私が今回6.1インチに変更するのもそれが大きな理由の1つである。
今回のiPhone 13シリーズは、総じて動画が素晴らしい。もし、たくさんの人がこのiPhoneを手にしたら、YouTubeやTikTokに投稿される映像のデフォルト値が変わってしまいそうだ。
発売後には、“シネマティック”が当たり前になっていくのでは、と感じられるほど。これを一度体験してしまうと、元には戻れなくなるかもしれない。プロの作る映像作品も楽しみだが、今後iPhone 13 シリーズを手にした多くの人の、よりクリエイティブな作品を見るのも、とても楽しみだ。
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