スティーブ・ジョブズ没後10年 Appleの隆盛を支えた「ジョブズとクック」が成し遂げたこと(4/4 ページ)
Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズが亡くなって10年がたとうとしている。改めて「スティーブ・ジョブズとティム・クック」について、西田宗千佳さんが分析する。
「いけるジャンルはやめない」のがクック流か
残るは、「iPhoneという巨大な成功に続くもの」を生み出せるか、ということだろう。VR/AR関連や自動車などいろいろあるが、まだその姿は見えていない。
一つ感じるのは、クックという人は「行けると思ったらやめない」人なのかな、ということだ。
思えば、iPadとApple Watchには共通の特徴があった。
初代モデルが発表されると圧倒的に注目され、他社を巻き込んだ大ブームとなるが、一時的に停滞し、ある種の幻滅期が来る。
だが、Appleは継続的な投資を止めなかった。結果として今、iPadもApple Watchも大きな柱に育った。ライバル製品はあるが、市場シェアでは追いつけていない。製品とプラットフォームを地道に育てた結果、支持が安定したのだ。
今後なにか新しいものが来るとしたら、それも同じ経過をたどるのではないか、と思う。ブームになり、幻滅される。だが、それを持ちこたえて「続けた」結果としてしか、大きな市場は生まれづらくなっているのではないかとも思うのだ。
そして、その余力を支えるのは結局iPhoneの収益である。
ティム・クックという経営者の本質は、「いかに持続的な環境を作るのか」という点なのではないか……というのが筆者の結論だ。そのためのシステムを組み立て、最適化してきたティム・クックという人物は、経営者として、ジョブズとは違う意味で非凡な人物だ。
そういうパターンを選びづらいという意味でも、他のスマートフォンメーカーは、Appleとは違うビジネスモデルを目指さざるを得ない。
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しばしば聴かれる質問。だが、この問題については誰もちゃんと答えていないようなので、西田宗千佳さんが乗り出した。
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