伊勢エビの脱皮をAIで検知、おいしい時期逃さず 夜間の「水槽見張り」から解放
飲食店向けの店舗管理サービスを手掛けるEBILABが、カメラの映像を基にAIで伊勢エビの脱皮を検知する技術を開発した。周期が不規則で予測困難な一方、脱皮直後が最もおいしいとされる伊勢エビの監視にAIを活用し、職人の負担を減らすという。
飲食店向けの店舗管理サービスを手掛けるEBILAB(エビラボ、三重県伊勢市)は10月7日、カメラの映像を基にAIで伊勢エビの脱皮を検知する技術を開発し、1日から実証実験を始めていると発表した。脱皮周期が不規則で予測困難な一方、脱皮直後が最もおいしいとされる伊勢エビの監視にAIを活用し、これまで夜間に水槽を見張る必要があった職人の負担を減らすという。
伊勢エビは、脱皮直後であれば皮までおいしく調理できるのが利点という。ただし伊勢エビの脱皮周期には個体差があるため予測が難しく、これまでは職人が経験を基に大まかな時期を予測し、夜行性の伊勢エビに合わせて夜間に水槽を見張るといった手法を取っていた。
同社が開発したAIは伊勢エビの画像を1000枚程度学習しており、暗視カメラで撮影した映像を基に脱皮の瞬間を検知する。スマートフォンなどに通知できるため、職人の負担を削減できるという。開発には米MicrosoftのAI開発者向けAPI群「Azure Cognitive Services」を活用した。
実証実験では、実際に伊勢エビの入った水槽をカメラで見張り、脱皮を検知できるか検証している。EBILABでは実用性が確認でき次第、システムを三重県伊勢市の飲食店「倭庵黒石」(やまとあんくろいし)に提供する方針だ。
【編集履歴:2021年10月12日午後1時 追加の取材に基づき、伊勢エビの調理に関する記述を変更しました。】
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