Facebook、“次の10億人”接続のためのケーブル敷設ロボット「Bombyx」を披露
世界中の人々をつなげることを目標に掲げるFacebookが、「次の10億人」に高速ネットを提供するための光ファイバー敷設ロボット「Bombyx」を披露。既存の電線に黙々とファイバーを巻きつけていく。
米Facebookは10月7日(現地時間)、「次の10億人のための接続技術」という公式ブログで、同社のConnectivity Labが取り組んでいる技術を紹介した。いずれも既に発表済みのものだが、Inside the Labというイベントで改めて披露した。
同社は2013年に“残りの50億人”をネットにつなげるための共同体「Internet.org」を立ち上げ、翌年そのためのラボConnectivity Labを立ち上げた。これまでに3億人以上の人々に高速インターネットへのアクセスを提供したという。
光ファイバー敷設ロボット「Bombyx」は7月に発表されたもの。おおまかに説明すると、既存の電話線に軽量の光ファイバーを巻きつけていくロボットだ。光ファイバーは従来のケーブルの数千倍の帯域幅を持っており、家庭に直接つなげればメタバースのような負荷の高いサービスでも快適に利用できるようになる。だが、光ファイバーネットワークの展開にはかなりのコストが掛かるので、既存のインフラを利用することを思いついたという。
電話線であれば多くの企業や家庭を網羅している。電話線に光ファイバーケーブルを巻きつける方法は80年代初頭に「ヘリカルラップ方式」として開発された。Bombyxはこの作業を自動で行うために構築された。下の動画は、Bombyxが電柱を乗り越えて作業を続ける様子だ。
Bombyxは1km以上の光ファイバーを搭載し、約1時間半で数十の障害物を自律的に乗り越えながら敷設できる。ロボット1台当たり平均で1日1.5〜2km敷設できるという。この方式で、人件費その他のコストが大幅に削減でき、総コストは1m当たり2〜3ドルになるとしている。
同社はこの他、昨年5月に発表した海底ケーブル「2Africa」の拡張、2016年に発表したマルチノード無線システム「Terragraph」の進捗状況も発表した。
2Africaはアフリカ、欧州、アジアを結ぶ大規模海底ケーブル。9月末に、9つの新たな新拠点を追加し、全長4万5000kmになると発表した。
Terragraphは既にアラスカ州アンカレッジの6500以上の家庭に高速インターネットを提供しており、現在「世界で最も孤立した都市の1つ」オーストラリアのパースで展開中だ。
Facebookは4日、6時間にわたる大規模なサービス停止を引き起こした。マーク・ザッカーバーグCEOによるBombyx紹介のFacebook投稿には「そんなことよりFacebookをダウンさせるなよ」というコメントがついている。
関連記事
- Facebook、約6時間にわたる障害の原因と対策を詳解
Facebookは10月4日の約6時間にわたる全社サービスの停止の原因と復旧について説明した。コマンド発行ミスに監査ツールのバグが重なった。システム停止でデータセンターに物理的に入るのにも時間がかかったという。 - FacebookとGoogle、米国と東南アジアを結ぶ新海底ケーブルを計画
Facebookは北米、インドネシア、シンガポールを接続する2本の新海底ケーブル「Echo」と「Bifrost」の計画を発表した。EchoにはGoogleも投資する。実現すれば太平洋のトラフィック容量を70%増加できる見込みだ。 - Facebook、ネットワーク接続のための「Aquila」ドローン開発を打ち切り
Facebookが“残りの40億人”にインターネットを提供するために立ち上げたプロジェクトの一環、「Auila」プロジェクトを終了し、無人機(ドローン)の自社開発を打ち切る。 - Facebook、60GHz帯利用の高速ネットワーク「Terragraph」をまずサンノゼでテストへ
「世界中をつなげる」ことを目指すFacebookが、人口密集地域用「Terragraph」と過疎地域用「ARIES」という2つの高速ネットワークプロジェクトを発表した。 - Facebook、アフリカへのネット環境提供で仏人工衛星企業と提携
Facebookが、“残りの43億人”にインターネット環境を提供するプロジェクト「Internet.org」の一環として、仏通信衛星運営企業のEutelsatと提携し、2016年中に人工衛星を打ち上げてアフリカ地域にインターネット網を構築する計画を発表した。 - Facebook、インターネット接続用無人機「Aquila」の動画を初披露
FacebookがInternet.orgのために開発中の次世代インターネット網構築用無人機「Aquila」の実物大モデルが完成したとして画像や動画を公開した。 - Facebook、無人機や衛星によるネット網構築のための「Connectivity Lab」を立ち上げ
Facebookが“残りの50億人”にインターネット接続を提供するためのプロジェクトInternet.orgの一環として、無人機や衛星とFSOを使ったインターネット網を構築するためのラボを立ち上げた。 - Facebook、“残りの50億人”をネットにつなげるための共同体「Internet.org」を発表
立ち上げパートナーには、廉価版スマートフォンを販売するNokiaやSamsung、半導体メーカーのQualcommとMediaTek、通信メーカーのEricsson、WebブラウザのOperaが名を連ねた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.