オリジナルデザインのウイスキーを妻に贈る 結婚の歳月を刻むラベル、どのフォントで表現するか:デジタルネイティブのためのフォントとデザイン(5/5 ページ)
10年前に結婚記念として仕込まれた木樽を指輪の代わりに購入した夫婦。彼らのためにウイスキーのラベルをデザインした。
後日Wさんから連絡があり、樽からとれたウイスキーボトルは131本のボトルに納められたそうだ。オリジナルデザインのラベルにはベンチャーウイスキーのオリジナルブランドである「Ichiro’s Malt」の名称は使用できない。また、オフィシャルラベルで使用している「秩父」の手書き文字(同フォント)も使用できない。そのため、「CHICHIBU」という固有名詞をラベルのメインロゴとしてフォントを組み、オフィシャル品との混合を防ぐために「Malt Dream Cask」の表示を記載した。
ラベルについては今回のように全てオリジナルデザインで制作する場合と、ベンチャーウイスキー側で用意したベーステンプレート(版下)を使用する場合の2種類がある。後者の場合はテンプレートのガイドラインに従い、指定されたスペースに文字やロゴマーク、写真やイラストレーションなどのビジュアルを組み込める。この場合は「Ichiro’s Malt」のロゴや「秩父」の手書き文字がラベルに印刷される。
結婚記念に熟成前のウイスキー樽を購入し、家族として過ごした愛犬がアイコンとなったウイスキーが家に迎えられる。いまはこの世にいない「トリスタン」と「みぃ」がラベルに刻まれて帰宅することで、一部は永遠の思い出として保存され、家族や友人たちとグラスを酌み交わす。オリジナルデザインのウイスキーが届けられ、縁と交流がまた深まる。
デザインで参加させていただいた私たちは、多幸感に包まれてこのプロジェクトの役目を終えることができた。W夫妻とベンチャーウイスキーさんには心から感謝を申し上げたい。
トリスタンとみぃに献杯。
追記:直近のお知らせになりますが、2021年10月31日にベンチャーウイスキー・ブランドアンバサダー、吉川由美さん(吉は上棒が短い方)のご案内でYouTubeによるオンラインイベントが実施されます。第2蒸溜所編のオンライン見学会です。詳しくはFacebookのイベントページにてご確認ください。
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