「抽象的なことより具体的な製品の改善」 Oculus顧問CTOが語ったメタバース実現の課題
「メタバースは抽象的なことばかり話したがる人にとってのワナ」──Meta(旧社名Facebook)傘下のOculusでCTO顧問を務めるジョン・カーマックさんは、メタバースへの見解をこう話す。カーマックCTOが考えるメタバース実現に向けた課題とは。
「メタバースは『アーキテクチャ宇宙飛行士』(具体的な処理については話さず、抽象的なことばかり話したがるエンジニアやデザイナーの意)にとってのハニーポット(わな)。私はそこに頭を悩ませている。抽象的なことは何かを構築するときには重要でない」──Meta(旧社名Facebook)傘下のOculusで顧問CTOを務めるジョン・カーマックさんは、10月28日(現地時間)開催のオンラインカンファレンス「Connect 2021」で、仮想空間「メタバース」についてこんな見解を示した。
カンファレンスの基調講演全体を通じてMetaのビジョンを語ったマーク・ザッカーバーグCEOとは対照的に、具体的な製品の改善が重要と主張するカーマックさん。メタバースの今後について「それでもザッカーバーグはメタバースを構築すると決めた。歯車は回り、リソースは投入されるだろう」と分析する。この状況を踏まえると、今後の最大の課題は「投入される全リソースをポジティブな結果に導くことだ」と指摘した。
これを実現するためには、テクノロジーのアーキテクチャや優位性より、製品そのものを評価して改善していく必要があるとコメント。例えばVRヘッドセット「Oculus Quest 2」から利用できる、同社のメタバースを体現するバーチャル会議室「Horizon Workrooms」は遅延が少なくなるよう音声技術を改善したため、一部のユーザーから「Zoomより(サービス内での通話の)品質がいい」と評されるという。
一方、一部の音声技術では「Oculus Go」に比べて遅延が大きいなど、いくつかの課題も残っているという。カーマックさんは遅延を少しでも小さくできればとしつつ「こういった個別かつ具体的な改善が、最終的にメタバースにおける全ての体験に影響を与えるだろう」とメタバース普及に向けた課題を指摘した。
カーマックさんはメタバースでの商取引についての見通しも示した。メタバース内で生計を立てられるようにする仕組みの一つになるだろうとしつつ、詐欺やスパムへの対応から、アダルトなエンターテインメントが普及するほどオープンにはならないと考えているという。
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