皿から10億件の情報収集 スシローが「データ活用すし屋」になっていた(1/2 ページ)
回転すしチェーン「スシロー」が、すしの皿から年間約10億件もの情報を集める「データ活用すし屋」になっている。店舗でのデータ取集の方法や、集めた情報の使い道とは。
すし職人がレーンに皿を載せ、客がそれを取る──回転すし店では当たり前の動作だが、こんな動きから年間約10億件ものデータを集め、事業に役立てている企業がある。回転すしチェーン「スシロー」を運営するあきんどスシローだ。
同社は皿に取り付けたICチップを活用し、ネタの人気度や、どのすしがいつレーンに載り、いつ客に取られたかといった情報を収集。材料の発注や売れ筋商品の分析に活用し、フードロスの削減などに役立てているという。
スシローではどんな方法で皿からデータを集め、事業に役立てているのか。あきんどスシローのグループ会社で、同社の情報システム管理などを手掛けるFOOD & LIFE COMPANIES(大阪府吹田市)の坂口豊さん(情報システム本部部長)が、米Snowflakeの日本法人が開いたオンラインイベント「SNOWDAY JAPAN」(12月7〜8日)で解説した。
レーンに隠したICリーダーで年10億件のデータ収集
スシローは日本に625店舗、韓国やシンガポールなど海外に64店舗を展開している(2021年12月現在)。日本における年間の来客者数は約1億5700万人で、1年に約16億皿のすしを提供しているという。
この皿がデータの源泉だ。スシローは基本的に、ネタの写真や説明を書いた「サンプル札」を載せた皿を先頭に配置し、その後に同じすしを数個ずつレーンに流している。このうちサンプル札には「まぐろ」「たまご」といったネタの情報とひも付いたICチップを、すしの皿には特定のネタとはひも付かないICチップをそれぞれ取り付けている。
それらをレーンの曲がり角に取り付けたICリーダーで読み取り、サンプル札のICチップからネタの種類、すし皿からレーン上を流れる数を認識する仕組みだ。サンプル札の後に流すすしの数は事前に決まっているため、どのすしが何個取られたかも把握できる。
こうして集めた情報は、FOOD & LIFE COMPANIESが米Amazon Web Servicesのクラウドサービス上に構築したデータ分析基盤に送信。データ格納システムに保存する。
このデータ格納システムには皿から集めた情報だけでなく、POSレジの支払い情報、テークアウト商品の販売情報、店舗の座席にある注文用端末の操作ログ、過去の受発注データといった情報も集約。これらは全て、店舗やFOOD & LIFE COMPANIESの拠点からビジネスインテリジェンス(BI)ツールで確認できるようにしている。
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