無表情だと誤解されがちな人向け「人工眉毛付きメガネ型デバイス」 7種類の感情を眉毛で支援:Innovative Tech(2/2 ページ)
公立はこだて未来大学などの研究チームは、人工眉毛の形状が多様に変化することで表情を拡張する眼鏡型ウェアラブルデバイスを開発した。
この手法を駆使すると、7種類の表情を再現できる。7種類の眉毛の形状変化によって、見る者に与える印象を評価するための実験と、マスク着用バージョン(マスクのイラストを顔画像に重ねた図を使用)も合わせて行った。その際、顔を全て統一するため、着用者の顔は静止画像を使った。
被験者には、各表情に対して、Anger(怒り)、Sadness(悲しみ)、Fear(恐怖)、Disgust(嫌悪)、Surprise(驚き)、Happy(幸せ)、Contempt(軽蔑)の7種の感情によってそれぞれ5段階のリッカート尺度を回答してもらった。
実験の結果、マスクなしで悲しみや怒りといった感情を表出できると分かった。マスクを着用していない場合よりもマスクを装着した場合の方が、どの表情においても感情が強く出る結果となった。
今後は、静止画像ではなくその場で眉毛が変化する動的バージョンと、本物のマスクを使用したバージョンの評価実験をしたいという。今回は眼鏡に搭載する人工眉毛としたが、眼鏡を取っ払い眉毛を覆い隠すシリコンベースの薄型人工眉毛として、より顔に調和したデバイスになるように機能を改修したいという。
出典および画像クレジット: 増井 元康, 竹川 佳成, 新田 野乃華, 徳田 雄嵩, 杉浦 裕太, 正井 克俊, 平田 圭二. PerformEyebrow:装着者の感情表現を拡張できる人工眉毛形状制御デバイス. 情報処理学会論文誌. 2021, vol. 62, no.11, p.1817-1828.
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