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プロ棋士向け最強将棋AIマシンを組む! ある相談から全てが始まった新連載(2/3 ページ)

「ディープラーニング系の将棋ソフトを使いたい」──広瀬章人八段のこんな相談から、ITmedia NEWSの新しい連載が始まった。

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 一般に、ディープラーニングの計算をさせるならCPUよりGPUが適任とされる。CPUはOSの動作からWebブラウザやゲームソフトの実行まで汎用的な計算を行えるが、「一般的には」並列計算にめっぽう強いわけではない。

 GPUは、もともとはディスプレイに出力する映像を専門的に演算する装置だ。例えばフルHD60fpsのディスプレイに映像を出すなら、1920×1080ピクセル=約200万ピクセルを1秒間に60回描画する必要がある。1ピクセルの1度の描画を1計算とするなら、1秒間に200万ピクセル×60回=1億2000万回計算することになる。

 より慣れ親しんだ形なら(この表現は正確ではないが)120MHzとも表せるので大した計算ではなさそうにも見えるが、ここで押さえてほしいのは「映像の描画は並列計算である」ということだ。GPUはCPUのように「なんでもできるプロセッサ」は持っていないが、その代わりに「簡単な計算ならできるプロセッサ(コア)」を多数搭載している。多数のコアで同時に計算することで、フレームごとに適切な色のピクセル群を出力している。


米NVIDIA現行のハイエンドGPU「GeForce RTX 3090」

 このようにGPUは並列計算に特化した装置とも捉えられることから、映像処理以外の並列計算にも使われるようになった。そして、ディープラーニングはその計算アルゴリズム(行列計算の繰り返し)から並列計算と相性がいい。

「Threadripper」という化け物CPU

 つまり、「ディープラーニングをやりたいだけならGPUを強化すればOK」は答えとしては正しいはず。にもかかわらず、藤井竜王はThreadripperマシンを使っている(GPUは明らかでない)。渡辺明名人も、8月ごろにThreadripper 3990XとRTX 3090を搭載したと思われるマシンを購入している。どうもCPUも重要そうだ、という事実が見えてくる。

 ここでThreadripper 3990XがどんなCPUかということにも触れておきたい。

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