ソニーのEVはどんなクルマに仕上がるか 開発責任者への取材などから予想する(3/3 ページ)
ソニーは2022年春にEV参入を検討するための事業会社「Sony Mobility」を設立すると発表した。はたしてソニーが作るEVとはどのようなものになるのか? 開発責任者への取材などから予想してみよう。
実際の販売までは長い道のり、ベンチマークとなる「テスラ」の存在
ただ現状、ソニーは「EVへの参入を決定した」状態ではない。あくまで「自社でのEV販売を前提に事業化を検討」している段階だ。「ほとんど決まったようなものじゃない?」と思われそうだが、その辺は色々複雑な話がある。
自動車は、販売の手法も、販売する際の条件も国によって異なる。いくらIoT的なものだからといって、ウェブサイトですぐに販売開始……というわけにはいかないものだ。
安全面でのルールを満たし、販路をきめ、ローンや保険などの仕組みも整え、さらには、長期的かつしっかりとしたサポート体制も用意しないといけない。デジタルガジェットでトラブルが起きても人はなかなか死なないが、自動車は簡単に人を殺せるからだ。
自動車として必要な要件を1つ1つクリアーしていかないと、いわゆる「自動車メーカー」にはなれない。だから、そんなにすぐ販売に漕ぎ着けるわけではないだろう。川西氏も「(VISION-Sには)もっともっと最適化できるところがある」と話している。
2022年春に予定されている「ソニーモビリティ」は、そうした条件を整えていくための会社でもあるので、販売を前提としたEVの完成はまだ先、ということになるだろう。1年で販売開始、ということはあるまい。
ソニーはその上で、数多あるEVメーカーと競合していかねばならない。
正直なところ、どんな車がどんなビジネスモデルで出てくるかは、まだ予想がつかない。VISION-Sが「IoT的なクルマ」であるのは間違いないが、その実力もわからないし、どのくらいの価値を市場に提供できるかも不明だ。現状で他の自動車メーカーと比較検討し、ビジネスの優劣を競える段階ではない。
ただ、市場にはすでに「ソフトで進化するクルマ」として評価されている存在がある。
テスラだ。
ソニーがどんな車を作ることになろうと、その技術特性を考えれば、テスラが1つのベンチマークになるのは間違いないだろう。
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